2026年7月10日
誤解が無いように先にこの記事の概略を書いておきます
QRPトランシーバーを自作していると送受信のアンテナ切替をどうするか考えることがあります
それを今回は形にしてみようと思います。
ついでにATTになると都合がいいことがあるのでアンテナ切替兼ATTになる回路を模索してみます。
最近作ったQRPトランシーバーのアンテナ切替には2N7002Kを使いました
AF回路で良好だったのでRFに応用しただけです
7MHzでは良好に動作しているように見えます。
回路はこんな感じです。

2N7002Kをオフにするとハイインピーダンスになることを利用しています
受信時は2N7002Kのゲートを5VにするとFETがオン(低抵抗)になります、これでほとんどロスすることなく受信回路に信号が行きます。
もう少し細かく説明すると、ドレインへはR1(10kΩ)を通して正電位をかけています電圧は4V以上あればOKで12Vにしても変化は有りませんでした。
R2(10kΩ)のゲート抵抗は無くても動作しますが安全のため入れておきました
ゲートとグランド間に0.01から0.1μFを入れると立ち上がりが僅かに遅くなりますが入出力のアイソレーションが少しだけ改善しました。
uSDXとかSDR系の回路図を見ていたら終段と同じBS170を使って同様な目的の回路が使われていることに気付きました、こんなところにBS170ですかぁ?
気になったのでデータシートで確認してみました
BS170のオフ時のDS間容量は大きすぎます、直感的に使い物にならないと思いました、
しかもドレインを吊っていないので動作点が不安定になり期待した動作をするはずがありません
実際にBS170でテストしてみたところ予想どおり使い物にならない特性でした。
話しを戻します
2N7002Kを使ったときの特性を測ってみました
DS間の容量は約7pFと考えられます

3から30MHzの範囲で2N7002Kがオフになっている状態の減衰量です
7MHzあたりは-33dBですが30MHzは-20dBくらいしか減衰していないのが分かります。
画像のようにDS間の容量が問題ですね、7MHz以下はなんとか使えますが高い周波数ほどすっぽ抜けてきます
つまり単純計算でも30MHzに対して7pFは758Ωのリアクタンスです
FETの内部抵抗は、それなりに高抵抗になっていても、この状態は抵抗よりもコンデンサとしての動作が支配的になります
しかも実装に伴いストレーが加算されるのでバラックで動作テストしたら10pF近くになっていました
これだと30MHzで531Ωとなります。
これらの事を考えるとこのアンテナ切替回路は高い周波数では使えないということです。
モノバンドならLを追加して減衰量を簡単に稼げます、マルチバンドではそうはいかないので悩みどころです
今更ですがリレーを使えば簡単なのは分かっていますが個人的に避けたい理由があります
先ずフルブレークインのCWには適さないことです、高価なリレーを選べば3mSくらいの着替えが可能ですが安物は10mSくらい遅れがあります。つまり動作が遅いのが嫌です。
そして音がうるさい事です。
モノによるけど消費電流が大きい事です。
フルブレークインでCWをやらないならリレーが簡単でベストです。
では次に2N7002Kを使った切替器の特性をもう少し追いかけてみます、今度はゲート電圧がどれくらいになとオンになるのかテストしてみました。

これがゲート電圧を2.8Vにした状態です
通過ロスが0.55dBあります感度に影響はありません。
確実にオンにするには3V以上あればOKです、単純にオンオフの回路としては5Vと0Vで制御すればいいのでは。
ここまでの実験を整理すると2N7002Kを使ったアンテナ切替は
送信時に受信へのパワーが流れ込まないように切り離す能力が-33dB程度ということです
そのため若干アイソレーションが足りないのでこの回路の出力側にはシャントダイオードとして対向に接続したものを入れた方が受信回路を燃やさないで済むと思います。
今のところ2W出力程度までは問題なく使えていますが5W出力でSWRが悪い時は危険かもしれませんね。
そんなわけで、さらに改良してアイソレーションを高めることを考えました。
問題はFETのDS間の容量です、ゲート電圧を下げていくと抵抗が増し行きますがキャパシタンスが現れます、これを何とかするためにいくつかの方法を試しましたが微小信号では使えても大きな信号では歪んでしまい混変調発生器になってしまいました、最終的に無難な解決策として2N7002Kを2つシリーズで使うことにしました。
その回路図は次の通りです

2N7002Kのソースどうしを接続しています、ゲートは共通としドレインはそれぞれに抵抗を介して接続です。
ソース抵抗470Ωは、いろいろ試してみるとこの辺りがいいように思いました
抵抗の代わりに100μHのインダクターも試しましたが、どちらでもお好きな方をどうぞって感じです。この回路の特性は以下の画像の通りです。

7MHzあたりはー59dBも減衰しています
30MHzでも-30dBよりも多く減衰していますが実用上は21MHz止まりかなって思います。
回路的には簡単ですね、SMD部品で作るので僅かなスペースで実現できると思います。
次にこの回路での通過ロスを見てみます

通過ロスが-1.34dBとなっています
この時のゲート電圧は3.3Vですが5Vにしてもあまり変わらないです。
そこでソース抵抗をRFCに変更しいます

ソース抵抗の470Ωを100μHのマイクロインダクターにしたものです
ゲート電圧は同様に3.3Vの時のデータです
通過ロスは-0.83dBです
約0.5dBくらいの改善でしょうかね

この画像はRFCにした時にゲート電圧を1.4Vにした時の特性です、0Vにしても似たようなものです。
4MHzあたりの凹みはインダクターの自己共振などいろいろなものが複雑に影響したものです。
これらの様子からソースに抵抗ではなくてRFCを使う場合は容量なども考慮した方が良さそうな気がします、オン時の通過ロスは抵抗よりRFCの方が少ないのですが個人的にはこれくらいの通過ロスは受信回路において問題は無いと思っているのと基板実装時の問題としてチップインダクターよりも抵抗の方が入手性などを含めて扱いが簡単なので470Ωの抵抗で済ませようと考えています。
ATTの話しはいつするんだって思われると思いますが
今回の実験で解っているのは1.4Vから3.3Vの範囲でゲート電圧を制御すると連続可変の減衰器として使えることが分かっているのでATTにした場合のゲート電圧対減衰量のグラフ化は行いません。
電圧によってどんな減衰量になるのか2つだけ画像を載せておきます

ソース抵抗470Ωでゲート電圧を1.8Vにした時の特性です。
-38.87dB減衰です。

ソース抵抗470Ωでゲート電圧を2.2Vにした時の特性です。
-9.19dB減衰です
比較的小さい電圧変化で大きく減衰特性が変化しますがスムーズに変化しいるのは事実です。
どうしてアンテナ切替用の回路をATTにしようと思ったのか
それは簡易な構成の受信機を考えているときに回路の段数と利得の関係で目標としているレベルのコントロールができない問題がありました。
例えばSA612Aを2個使って簡易な受信部にAGCをかけたいと思っても現実は難しいです
IFアンプを1段追加したとしても制御できるレベル範囲はそんなに大きくはありません
それで考えていた時に、アンテナ切替に使っているMOSFETを制御できたらいいのにって思いました。
それと、全体のバランスが良くないと美しくありません。例えばある程度強い信号になると突然Sメーターが動き出し、いきなりS9っていうのも嫌いです。
今回の回路と1段のIFアンプをうまく制御したら簡易な受信回路でも十分に有効なAGC制御ができると思います。
データ的には7MHzを中心にしていますが21MHz帯までは使えると思われます。
これで目的の動作は実現できることがわかりました
自作機に搭載する時は多少のアレンジが必要と思いますが基本はOKと思います
受信時はAGC回路との兼ね合いで3.3Vから1.4Vの範囲でゲート電圧を制御し、送信時はゲートを0Vにするように回路を組めば目標達成です。










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