SSB用リミッティングアンプ

Limiting amp radio-etc
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高性能リミッティングアンプを作る

Limiting Amplifier 日本語で言うと制限増幅器ですな。
無線通信用は音響機器のそれとは少し異なります
今回は無線通信のSSB向けにに特化したものを作ります

グラフィックイコライザーも搭載しています
回路図の定数で100Hzと2800Hzの箇所を上げ下げできます(上げるか下げるかはジャンパーピンで切り替えます)
昔ながらの300Hzから2400Hz程度の帯域の送信機には適していないため真似て作る方はお使いの送信機の仕様に合わせると良いです。

リミッティングアンプは、いくつかの方式がありますが最終的にフィードバック方式に決めました。
フィードフォワード方式もありますが、回路が複雑になります、考えれば考えるほどに複雑になりますがアタックタイムの遅れを0にすること以外のメリットが無いため採用しませんでした。
諸々考えて理想はデジタル処理なんだろうと思いますがスキルが及ばずこれも不採用です。

さて昔作ったことがあるオペアンプとFET方式の圧縮方式はパッとしないので今回はVCAチップを使います
音響機器用のアナログVCAチップを探したところM5283Pが現在でも新品の本物が入手できたので、これを使ってリミッティングアンプを作ることにしました。

M5283Pは入出力が概ね1対1なのでチップ内での増幅はされません
代わりに大入力に対応できる能力があり最大減衰量も-95dBなので正に希望通りの性能を持っています
シンプルな構造のため外部に制御電圧を作り出す回路が必要ですが、これのおかげでアタックとリリースタイムを好みに設定が可能です
これらの周辺回路はオペアンプで構成します。

M5283Pの特徴をデータシートからコピって載せときます。

リニアな部分は約0.4Vから2Vの範囲ですが、4V辺りから使った方が良いと思われます。

この電圧はD3のツェナー4.7V(手持ち部品の都合により)で基準電圧を作りました、実測で4.57Vだったので期待通りに収まりました。

VC用電圧の起点は4.5Vあたりを目指せばOKで抵抗分割で作ってもいいです。

本回路図で妙なところは初段のマイクアンプです。
実はマイクを2つ繋げるようにしていますが、1つは位相を反転しています
2つのコンデンサーマイクをタンデムに配置し逆位相で合成すると指向性が出るはずなのでお遊び用に搭載しています、完全に合成すると音が消えてしまうのでレベル差を付けてます。U1Aが前側のECM U1Bが後ろ側のECMと接続します。
その際に2つのマイクの距離も関係してきますが、そこらで売ってる50円程度のECMのエレメントで遊ぶだけの話しです、ここは窓のすぐ先は交通量の多い道路なのであれやこれやと煩いです、それに室内も環境音が結構あるのでノイキャンマイク目指して遊べたら楽しいかと思います、グライコを搭載したのは自分のダメ声を少しでも了解度のいい音作りを目指しての事です最初から無線でオーディオごっこをする気はありませんから誤解をしないように。
それと本機の出力は3Vppで出してます、無線機に接続するマイクプラグのところで抵抗ATTを入れて所定の電圧に落としています、こうすることで回りからの影響を受けにくくする狙いです。

最終的に定数などを含めて完成型はこちらの回路です。

PDFでダウンロードしたい方はこちら

(※アップした回路図には一部訂正があるので真似する人は全部読んだ方がいいですよ。)
回路図中に一部12Vの電圧表記がありますが現在は15Vで動かしています
回路は簡単なので特に説明は必要ないと思いますが実装時における注意点としてはM5283Pは特にICソケットを利用せず基板にベタ付けがいいです。
データシートにも書かれていますが熱を持つため放熱用に-VCCラインの銅箔を広めにとって放熱を促すようにと書かれています、事実かなり熱を持ちます(指で触れる程度ですが意外に熱いです)。オペアンプの取り付けもICソケットは接触不良の原因になるからおすすめしません。
オペアンプの番号に欠番があったり、部品番号が左端から連番ではないです、回路を考えながらアノテーションしながら基板レイアウトをしたので妙な部品番号付けとなっていますが、2回路入りのオペアンプが8個とVCAのICが1個です
電源トランスは手持ちに15V-0V-15Vのカットコアトランス(0.3A)があったのでそれを使いましたが、漏れ磁束が基板に影響するので離したいところですがケースの都合でそうもいかず・・・
とりあえずハムや妙なノイズが乗らないのでよしとしました。
電源トランスの1次側にはコモンモードのフィルターを入れています。

その他、実際にICを交換して試してみたのですが、U8とU9のオペアンプは設計時からNJM4580DDを使っています、これのスルーレートは5V/μsですが、ここを高速なオペアンプにするとすごいのかなと思ってNJM2114DD(15V/μs)にしてみましたが特に改善度はありませんでした、しかもオフセット電圧は妙に大きくて(40mV程度で個人的に気分が悪い、動作的には問題無い)驚いたので元の4580に戻しました。
アタックタイムを決めるR48(現在1Ω)は10Ω以下がおすすめで100Ωまで上げると明らかにアタックが遅れますね、無線機の反応速度やレベル配分等にもよりますが10Ω以下がいいと感じます。
U10Bのところに使っているD4とR49で構成した回路のおかげでM5283PのVC(15番ピン)への制御が安定して高速です、ここの手法は偶然見つけたJA4GII局のホームページにM5283Pを使ったリミッティングアンプの回路に記載されているのを見た瞬間に、これはいい 優れたアイデアだなと直感し真似をさせていただきました、後日JA4GII局(光岡様)には連絡し真似ることを許可頂きました。

一方リリースタイムを決めるR47の1MΩは2.2MΩでもいいかもしれません、1MΩで10秒 2.2MΩで20秒のリリースタイムになります。
Q1のベース側に入ってるコンデンサC24は実装しません、習慣的に回路図に書いてしまっただけです、0.001μだと誤魔化せますが0.01μ以上だと明らかにアタックタイムがワンテンポ遅れるのが実感できます。
今アップしてから気が付きました、1つ間違いがありました。グライコU6Aの3番ピンに入れているR23は2.2kではなくて2.4kが正解です、2.2kだと3000Hzくらいになるため帯域外になります、回路図の差し替えは面倒なので説明のみで失礼します。
それと回路図に表記するの忘れてますが225(2.2μ)のコンデンサは全てBP(NP)型です。
コンプレッションメーターには中華の500μAの円形窓(34φ)のを使いました、バックライト(LED式みたい)内蔵で古風なのが気に入ってます。
メーターの筐体は接着剤止めになっていて分解できないため文字盤が書き換えられません、そのまま使っていますが気分だけなのでOKです。

そういえば、PTTに関しては搭載してません、別の装置の制御も考えているので別途用意します本機はリミッティングアンプのみとしています。
最後に本機にはあれやこれやとツマミ類とか切替スイッチだとかはパネル等に出していません、調整を終えたら蓋をして触らない潔い使い方です。

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