7MHz用MLAの製作

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7メガ用に1m直径のMLAを作ってみた
メインループの材料に直径6.35ミリ×長さ5メートルのなまし銅管を買う予定が間違えて3メートルのを注文してしまった
もったいないからとりあえずこれで円形を作ってみた
これをメインループとして、インダクタンスを測ったら3.1μHくらいあるのでゴニョゴニョ計算すると7メガで165pFがあれば目的周波数に共振するはず

とりあえず受信用なのでバリコンは何でもいいのだけど中波用のアンテナを試している時に、手持ちのポリバリコンはQが低くて使い物にならんことが分かっていたのでエアバリを取り付けることにする

手持ちの中から500V耐圧100pFのエアバリとディップドマイカの100pF(300V耐圧)をパラって使うことにした、こうするとエアバリが中間あたりの容量で使えるから都合がいい。
計算してみると10pFも可変できれば7から7.2MHzをカバーできるから小容量のエアバリがいいのだけど何故か手持ちには無かった。

同軸ケーブルは手持ちを見たらS4CFBがあったのでこれを使った
75Ωの同軸ケーブルだが50Ωである必要もないので、片側にMP-5を付け、反対側は直径20センチのループ状にしてファラーシールド型の給電用ループとしてみた。

これら銅管のメインループと給電用のループやバリコン類をエンビのパイプに取り付けてアンテナとした。

設置場所はビルの2階で窓際なんだけど、事務所の一角でもあり、外部にアンテナを設置できないため、かなり悪い環境と言わざるをえない。
高層ビルの上層階なら、ここよりは可能性もあるとは思うのだが限られた条件で何とかするのもいい勉強だと思っている。

最初はバリコンは上部で給電用ループは下側だったけど、バリコンに手が届かず毎回脚立を持ってくるのが面倒になり、現在は画像の通り上下入れ替えて使ってます。

しばらくこれで受信用として使ってました、BCL用として使うならこれも有りかと思ったが、今まで室内に作ったどのアンテナよりも感度がいいのです。室内にロングワイヤ―を張ってアンテナカップラーと併用で聞くよりも、このMLAは良好に使えます。
それで欲が出るというのか好奇心が湧いてきて、もっと性能を上げれないかと思い、ついでに送信もできたらいいかも・・・と思い、大型化してみることにしました。

実用に向けて1.5m直径にしてみる
今度は、なまし銅管の9.5ミリ5mモノを買って30cmほど切り落とし全長4.7mで直径1.5mのメインループとして作ってみました、手で曲げながら輪っかにするからガタガタですけど由とします。

送信もできるようにするためにネットの情報を基に給電用ループはメインループの5分の1ということで30cmの直径で始めることにしました、自宅の物置を漁っていたら5D-2Wが8mくらい残っていたので1mほど切ってそれを使いました、残りの7mはIC-7300との接続に使います。
転がってた板切れがちょうどよかったので、その他も転がってたのを使って形にしていきました。

5D-2Wで作ったファラデーシールド型の30cm直径の給電用ループです。

コネクタのとこの黒いboxはコモンモードのフィルターです。
ここに使うとフロートバランと呼ぶ人もいます。

給電部の処理はこんな感じです、ここは転がってた部品の関係で無駄にNコネです。

FT-114#43にテフロン同軸を巻いてます、30年以上前に作ったものです。

送信でも使えるようにするためには同調用バリコンには高耐圧のが必要ですが、とりあえず1kV耐圧の200pFバリコンをぶら下げてみました。

薄い銅板を加工してメインループからベロンチョと繋いで、そのままバリコンをぶら下げています、このベロンチョのおかげで少し揺れても容量変化は影響せず問題ありません。

1kV耐圧のバリコンなので計算上は10Wも出せればいいところです。

SWRを測ってみたら、最少点は2.5くらいなんですね んー これは どうしたことか?
メインループとの結合(距離とか角度や形状など)を変えると、ようやく2くらいかなって感じです。
この時点でインピーダンスを測ってみればよかったのですがめんどくさいから推測でループを大きくすることにしました。
既に同軸ケーブルは使い果たしていて新しく買うには高くて(最近は5D-2Vは1mあたり250円くらいするみたい)気が進まないです。
しかし何とかして必要なサイズを割り出す必要があるため、同軸ケーブルを使うのは止めて手持ちにあった2ミリの錫メッキ線で35cm・40cm・45cmと3種類ためしたみたら徐々に改善されて45cmの時に1.3まで下がりました。
ここからは推測で50cmに決定し、同時ケーブルは無いのでシールド型は諦めて、単なる電線での給電用ループで行くことにしました、使った材料は6.35ミリの銅管です、これを1.55mほど使って約50cmのループにしました。この時の様子が次の画像です。

ちょっと角度が悪くて分かりにくいかも。
向かって左側は銅板のベルトでねじ止めと半田付けし、反対側は給電用ケーブルの芯線側に半田付けしています。

とりあえず、これでSWRが1.0になる給電用ループができあがりました。

メインループとの結合ですが、メインループと最も近い位置が自分の場合はベストでした。

給電用ループが機械的に安定しないとSWRがふらつくので頂部のみインシュロック(ビニタイ)で縛ってます。

それぞれの頂部は平行した位置になってます。
マスト代わりのエンビパイプは水道管の30Aというもので外形が38ミリあります。

こんな感じで設置しています。

見るからに普通はあり得ない様子ですが室内設置が条件なので仕方ないかな。

それと、給電用ループがメインループの3分の1っていうのもなんでやろって思ってます

まさか、グッと小さくした給電用ループもテストする必要があるんかな???

ここまでのことで、よーわからんことがあります、それでネットで参考になる情報を探していて辿り着いたのがここです
https://www.nonstopsystems.com/radio/frank_radio_antenna_magloop.htm
たぶんN4SPP局のページです、興味深い説明が続きます、何度も読んで熟読しました。

MLAの計算をするには以下のリンク先がおすすめです
http://www.i1wqrlinkradio.com/antype/ch13/ki6gd-magnetic-loop-antenna-calculator.htm
 ここでDLしたファイルを解凍して実行すると便利な計算ソフトが起動します。

https://www.aa5tb.com/loop.html
 ここからDLしたMLA計算ソフトはExcelファイルです。
 このExcel形式は使いづいかもしれません、そこで計算の要点をJavaScriptにしてweb上で計算できるようにしてくれているサイトを見つけました
ここです → https://geolog.mydns.jp/www.geocities.jp/jun930/ham/calmla.html 感謝です

計算上は最初の1mサイズのMLAは-13dBの性能です。
今回の1.5mのは-6.8dBの性能です。
ところが、直径が大きいのに改善された気がしないのです、それと1mの方は指向性がはっきりしているのに1.5mの方はヌルい感じでボーっとしています。
ベランダでもいいから外に設置できたらいいのですがここでは叶いません。
それで数日使って自分なりに推理してみると、指向性がボーっとしているのは給電用ループがシールド型ではない事とサイズが大きいため室内設置は周辺との影響がありすぎて適正サイズでは無いのかもしれない、
そして、もう一つの期待したほど性能が向上していない件は、窓のサイズと関係しているのではないか

ぱっと見、1.5mの方は窓の縦サイズよりも大きくて3割くらい損している気がするんだな
そして、とりあえず変更できそうな給電用ループはシールド型にしてみようと思った
さて、同軸ケーブルをこんな理由で買いに行くのは、ものすごく抵抗があるので考え抜いた結論は、この銅管の中に単線を通すことだった、ここは50Ωのケーブルを使う理由などどこにも見当たらない。
早速手持ちの材料を思い出していくとVAケーブルがあったはず
物置へ行って確認したら協和電線の1.6VVというのがあった、これを割いて1本取り出せば芯線として使えるはず。
試してみるとちょうど6.35ミリの銅管に入るから1.6メートルほど切り取って使うことにした。

VAケーブルってこれです
建物内で電気配線に使われているものです。

これを割いた1本を銅管に通しました。

こんな感じで銅管に通してファラデーシールド型の給電用ループとしてみた、配線を終えてSWRを測ったら良好な値を示し1.0まで下がりきります、共振点は既に別の部分で決まっているので給電部の多少の違いでそれがズレることは無いようだ。

これで少し指向性が改善されてノイズが減る向きがあることを確認できた、これは、ここの室内はコンピュータ機器とLANケーブルなどノイズ発生器だらけなので指向性がでることは自分にとってはありがたい。

MLAを回すとノイズの最少点が窓に対して直角の位置関係となり、しかもその位置(窓面との角度)が聞こえてくる無線の信号最大点でもあり当然なのか必然なのか、とにかくありがたい。

単線だけの給電用ループよりもシールド型の方がいいみたいですが屋外だと関係ないのかもしれないし気のせいかもしれない。

本命の目指して太い銅管を使ってみることにした
続いて、1mから1.5mにサイズアップしたのに性能向上が思ったほどではない件については窓サイズを考慮して1.2mのサイズで作ってみることにした、ただし、小径にすると効率が低下するので銅管のサイズをさらに太くし、こんどは19ミリの銅管にすることで9.5ミリ1.5m径とそん色ない効率を目指すことにした。

ここらの計算はKI6GD局の計算ソフトがとても使いやすい
しかも、円形以外に8角形と四角の計算もある、もっといいのは銅とアルミとの違いも計算できるので、最高にありがたい。
蛇足だが、輻射効率がパーセントで表示されているので注意深く数値を入力して実際のサイズを計画するといい、例えばメインループ長が3.7と3.8メートルでは10cmの違いだが効率はかなり違う(理由は計算上の端数が丸められていると思うのだが有効桁数の処理をどうしているのか分からないので・・・)、だから銅管をカットするときに短めではなく長めにしておく方が精神的に良い。

19ミリのなまし銅管で作った直径1.2メートルの7MHz用MLAです。

給電用ループは6.35ミリのなまし銅管を30cm直径にしました。

まだ錆びてないからカッコよく光ってます。


給電用ループは直径50cmから始めて5㎝ずつ小さくして行き都度NanoVNAで測ってみると
直径30センチあたりでいい感じだったけど更に小さくするとどうなるのか確認するのに25cmにしたみた
残念ながら25cmにすると悪化してしまった、NanoVNAで見ると63Ωくらいかな、メインループと可能な限り密に結合させても50Ωにはならず断念し30cmサイズの給電部を再度作りました。
ここの動作環境ではそれがベストのようです。
メインループと給電用ループの関係が分かりにくいかもしれませんね、ワシも測ってみるまで真逆の事を考えていたから・・・
少し説明すると、給電用ループが大きすぎる場合はメインループとの結合が強すぎてメインループとの距離を調整しても20Ω(給電用ループのサイズにもよるので一例です)より上がりませんでした、距離を離す代わりに結合面を平行からズラしていくと45度くらいのところで50Ωに近づけることができましたが見た目が不細工なので(個人的見解ですが)嫌ですがSWR1.0とすることは可能でした。これらのことは「AA5TB」のところに図解で示されています。

SWR計でSWR1.0を目標にして調整したなら見せかけの50Ωにはいくらでもなるため、アンテナの共振点からずれたところでSWRが1.0になることもあり得ます
このMLAもあれこれ試してみると給電用ループのサイズや形状はスボラな印象で、できるだけ性能を発揮させるにはなんらかのアンテナアナライザで測ってみないと最適値が分からないと思いました。

どんな形式のアンテナを作っても、見せかけのSWR最少点で使うことはよくある話しです
経験的なことで言えば、SWRが1.0となっても電波の飛びとは直接関係しないということです

このMLAを実験していて分かったことは給電用ループの直径が大きいとインピーダンスが上がるのかと思ったら違うみたい

メインループとの結合度を密にするとインピーダンスが下がって、疎にすると上がるみたい

最終的にこの1.2m径のMLAでは給電用ループのサイズは30cmにしました、N4SPP局も書いているように給電用ループはシールドしても しなくても違いが無いと思ったので、6.35ミリのなまし銅管のループだけとしています。同軸や細い線を使わなかったのは銅管の方がカッコいいから。

給電用なまし銅管を加工しているところと、取付後の画像です

今回も200pFのエアバリを適当にぶら下げてます。

メインループと電線で繋いでいるわけではないから安定した動作してます。

室内で使うからずーっとこのままでもいいのかもしれない。

前作の1.5m径もそうですが、とてもマルチバンド化はあり得ません。
7メガ用に作ると同調を取り直すだけで良好に使えるのは10メガだけで14メガは無理です、ワークバンドには興味は無いのでどうでもいいのですが、何か工夫して7と14の2バンドになると良いのにね。

このアンテナを眺めながら目論んでいるのは給電部については、簡単に給電用ループを交換できるようにするか、あるいは給電部の位置と角度が可変できるようにする、
そうすると、7から14メガ対応は可能になるような気がする。

モノバンドで使うにしても帯域がとても狭いので、同調機構を後日モタードライブ式にする計画で、現在はその部品等を集めているところです。「内心は室内に設置しているため電話での飛びは期待しない方がいいのかもしれず、そうすると電信用にしてしまえば同調を取り直さず狭い範囲ではありますが遊べる気もします。」
バリコンと高耐圧コンデンサも自作してみようと思って予備実験中です。
できあがったら、あらためてご紹介させていただきます。

ちなみに短波のBCL用には最初の実験で作った6.35ミリなまし銅管の直径1m物がとてもいい、これに430pF3連バリコンをパラって使うと3メガあたりから15メガくらいまで感度のいいアンテナになりますね、しかも同調が取れなくとも中波もすごくよく聞こえるのでBCL用にはちょうどいい。

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