なにを思ったのかヤフオクでFT-901SDを落札しました。
前回のFT-901DMだとどうしても気に入らないことがありFT-901SDにかけてみました(大げさだなぁ)。
今度のは慎重に見定めしたので内外共に見た目はイケテルと思います
受け取ったFT-901SDはマジで内部は奇麗です40数年経過しているとは思えないモノです。
外見は当然ホコリが乗ってますよ(本当に最近の出品者は掃除しないのですね、ワシにはありえんワ)
こんな感じですが どうでしょう
ホコリは付いていますが決め手になったのは
- 周波数表示横のツマミがキャリブレーションではなくディマーになっていること
- ダイアルが右上がりであること(周波数用文字盤の数字を見て判断)
- 背面のMコネが光っていた
- 背面の鉄板の汚れ具合からかなり良いコンディションと予想される
- 冷却ファンがついてるので、もしかしたら100W改造済みかも
だいたいこんな感じです、出品者が状態がとても悪いと書いてあったので安く買えるかもって思ったのも理由にはありますけどね・・・。
SDなのでメモリー・FM・エレキ―・DC-DCなどはオプションのため装備されていませんが、これらはもともと装備されていたとしても個人的には必要もないし興味もありません、むしろDC-DCが付いていないのはCBでAMに使っていなかった確率が高まるためワシには加点ポイントです。
メモリー機能もFT-901DMで使ってみましたが、この時代のメモリーはどうでもいいくらいのチャンガラです。後述しますが八重洲無線てアホだと思ってます。
簡単にホコリを掃って通電したみました、そして驚いた。
問題点
1. VFOのダイアルが回らない
2. 受信感度が恐ろしく悪い
3. 電源スイッチを入れてしばらくするとリレーが動いて動作不能になる
4. AGCの調子が悪い
5. ヒータースイッチを入れてしばらくするとヒューズ飛ぶ
6 ALCが不安定
それぞれ問題に対処しながら進むとざっとこんな感じの状態でした。
でも内部はとても奇麗なんですよー ちょっとユニットが挿してあるところを載せてみますが半固定ボリューム・トリマーコンデンサ・基板・鉄板など40数年経過しているとは思えないくらです。
どうです? 奇麗でしょ!
VFOから直します
筐体から取り外す必要がありますが、フロントパネルのネジ4本だけでは取り出せないのが八重洲無線です。
まずこのカウンターユニットを外さないといけません。
初期型のものよりは外しやすいです、鉄のフレームの上に乗ってますが、その鉄フレームごと(ネジ3本で止まってます)外せばOKです。
これを外すとVFOユニットにアクセス可能です。ですが抜き取る前にVFOにネジ止めしてあるアース線を外すのを忘れないように。
実はそのアース線を外すためにはVCOとPLLユニットも外す必要があるため筐体を覆ってる上下のカバーも外しておく必要があります、そうしないとドライバーが入らないからです。
ちょうど画像の真ん中あたりのとこです
このネジを外さないとVFOユニットは抜けません
初期型のFT-901DMは長めだったのでVFOを引き抜いてアース線を外せましたけど、今回の後期型は、それができないです。
アース線を外したらVFOを抜き取ります。
あれこれ外したところです
とても奇麗なのが分かると思います。
気になるのはシールド線の質は悪いようで、シースが劣化して粉を噴き硬くなっています。
VFOを外して正面から見たところです。
狭いところに押し込んでいると言うよりも、最初からまともな設計がされていないことがよく伝わります。
1.のVFOのダイアルが回らないのを直すために以下の事をしてみた。
これはダイアルを操作したら1回転くらいは動かせるが左右のどちらに回してもロックされた感じでそれ以上の操作はできない、
VFOユニットを丸ごと取り外して動きを調べてもやはりロックされてしまうので、もしかしたらシールドケース内にあるバリコンの隙間に何かが挟まったのかと思い確認のためシールドケースも外してみた。
向かって左からメインダイアル、文字盤、メカギヤ、VFO。
基本的にVFOの基板やバリコン等には無暗に触らない方がいいよ。
このシールドケースなんだけど、付け外しをすると周波数がズレるのを思い出した、あーすっかり忘れてたなぁ んーメンドクサイんだよこれ
以前の経験でもそうだった、だいたい15kHz程度は簡単にズレてしまうのである
内部の部品との距離が微妙に変わってしまうのが原因なんだけど・・・
まっ今回はダイアルが回せないのを直すことが先決なのでしかたないかぁ
バリコンには異常が無かったのでメカギヤを掃除したら直りました
メカギヤを傷めるのはまずいから丁寧に作業し、その後は堅めのグリスを塗って完了です。
それにしてもギヤが奇麗ですなぁ、ほとんど使ってないねコレ 新品の時と変わらない状態です。
VFOユニットは筐体に取付して、この件はおしまいと思ったら違ってた
今度はダイアルを回すと、どこかに当たるのかガサガサ・ギシギシと音がするんです、しかも外側の文字盤の動きがいつもと違う
VFOユニットを筐体から外すと快調なんですね
狭いところへ押し込んであるし、VFOユニット全体を筐体から直流的に浮かすために紙やらプラで絶縁してある素人臭い構造をしています。
このVFOユニットは正面のネジをしなければ快調なんですけど、ネジを締めこんでいくほどに不調になります
どうやらダイアル部分と筐体の間に入ってるスペーサーが問題のようです
ネジを締めこむと変形して文字盤にあたるようです。
考えた結果、画像の通りスペーサーの下側を切り落とすことにしました、これくらい荒治療をしないと次回のメンテの時にも大変だし
湿度や温度の影響で使っている間に同じ症状を繰り返すと考えたので思い切ってぶった切りました。
このスペーサーはワシのは2枚入ってたけど、モノによっては1枚のようです
こういう付け焼刃も八重洲無線らしいですね。
これを一部(ダイアルの下側部分)をぶった切りますよ
これくらい切り落とせばOKですな
硬かったからプラスチックかもしれない。
あれやこれやで調子よくVFOは使えるようになりました、このあと試しに受信してみたら次の問題が発覚したんですが、とりあえず周波数調整の件を続けて書いておきます。
元通りにVFOユニットを筐体に取り付けて内蔵のマーカーを使って調べたら17kHz周波数がズレていました。
これを調整しないとアナログの文字盤とデジタル表示との周波数表示関係が不細工なのでズレたのを直します。
直し方はVFOユニットに調整用のエアバリコンがあるのでそれを回します、場所は下側です。
ここは違うよ、VFOの上部(カウンターユニットのすぐ下)にあるグロメットを外すとトリマーコンデンサーがありますが、これは出力レベル調整用なのでよほど理由が無い限り触らんように。
Xtalユニットが邪魔なので配線は接続したままユニットだけ横にずらして行います、この時カウンターユニットも含めて動作可能状態である必要があります。
内蔵のマーカーを使ってゼロビートを取り追い込んでいきます。LSBとUSBで3kHz違いますから文字盤の位置をよく考えながら調整します。
アルミのテープで蓋がしてあるので1か所剥がします、全部で3か所に貼ってあるけど目的の場所は画像を参考にしてください。
40年も経ってますから一度剥がすとノリが効きませんので調整後はこの円形のアルミテープを元に戻し剥がれないように、上からセロハンテープを貼っておきました。
とりあえず、これでVFO関連は修理調整が完了です、次回は受信感度が悪い件についてです。
2. 受信感度が悪い 2月12日追記
各ユニットを調べたら感度が悪い原因はRFユニットのようです
今回のFT-901SDは後期型(最終型らしいです)なので取説の回路図と概ね同じです
確認のため回路図を載せておきます。
基本的にはこの回路図でいいのですが赤枠のところが小細工されています。
それはいいとして感度が悪い理由ですが、マーカーの受信強度からみて30dBくらい悪いみたいでアンテナをつないで受信してみると弱いながらも強い信号は受信できます、VFOの可変に応じて受信周波数も変化しますからある程度絞られきますね
それで最も怪しいQ03のJ310を外してJ211に替えました、これで受信は正常にできるようになりました。
今回のRFユニットは確かに後期型のものではありますが2点ほど疑問が残ります
1つは赤枠で囲った部分が変更になってます。
赤枠内の部分がこの手書きのように配線されています、何故なんでしょうね、意味あるのかな
T03はトリファイラー巻きなんですけどワークバンドを追加したことと関係があるのか無いのか相変わらずの出たとこ勝負仕事です、なんせこれを空中配線で実現してましたから。
それと、Q02のミキサーダイオードがこれまた不思議にND487C2から1S1007の4本組にしてあります
在庫切れになったのか、それとも特別な理由があるのか・・・
(内心バカみたいと思いました、あくまでも独り言ですが)
手持ちにND487C2があるので交換し、ダイオードスイッチの回路もオリジナルに戻そうかとも考えましたがアホしくなってそのままにしてあります。
しかし、J310ってそんなに壊れやすいのでしょうかね、先日入手したRFユニットもJ310を2SK125に交換してあったしどうなんだろう?
それと、初期型のFT-901と比べたら後期型はIFユニットの利得が10dBくらい高いみたいです
とりあえず受信も正常にできるようになったのでじっくり動作確認ができると思ったら
なんと次のトラブル発生
電源を入れてしばらくすると突然動作不能になりました、あー 見た目は奇麗だけど思ったよりぶっ壊れてるみたいだなぁ 楽しませてくれるなコイツ。
3. 突然動作不良を起こす件
電源スイッチを入れて数分後、リレーが動作する音がして突然動作しなくなる現象が発生した。
表示は普通にしてて、ヒューズが飛ぶわけでもなくPTT操作をすると送受切替のリレーが合わせて動作するので、この症状は面白い。
これたいしたことないな、根拠のない確信の基に、やっておくべき作業を済ませたら勝手に直るだろうという直感が働いた。
ということで、電源関連のRECTユニットのAとCの電解コンデンサを取り換えて、ついでにAFユニットなどのコンデンサを音質改善のために交換したり、合わせて各ユニットの半田クラックを疑いながら手直ししたりと一連のお決まりメニューを完了したら、思った通りこの怪現象は解決した。
ようやく、これで落ち着いて受信ができるぞ
やっぱ落ち着いて使ってみないと分からんことが結構あるなぁ
この最終型の共通問題なのか、この中古機の特有問題なのか、なにやらAGCがへん
4. AGCの調子が悪い件
どうもAGCが調子ワルー なんだこりゃあ Sメーターの動きが妙だな
へんだなって気づいた切っ掛けはメーターの動きがいつもと違う
こんなにスローの時定数は速かったかな
で いろいろつついてみたら1つはAGCの切り替えスイッチが接触不良でSとFの切り替えがうまくできないみたい
これは何度も切り替えてればある程度改善されると思うのでパチパチと切替まくってなんとか復帰したみたい。
調子が悪いと感じるのは、それだけじゃなくてスロー側ではもう少し長く(つまりゆっくりと)効いてほしい
ファストの方は妙に速すぎるのと、なんて表現するといいのかスパイク状のノイズが多いのかスピーカーからの音的にはそんなに強くもないのに景気よくメーターが振れるのが下品すぎる。
一見9+の信号かと思わせて、この時にスローに切り替えると4くらいの信号強度
特にファストにして聞いてるとアタックも遅い気がする、このFT-901のAGC回路は激しく幼稚な回路なので期待した性能は無いのは分かるが、なんだろうこの状態???
全体のバランスが重要なのと、このIFユニットの回路は初期型から回路自体は変更が無い(ただし、定数は一部変更になっている)、そうするとこの本機固有の問題と考えた方が合理的だろうな
回路を見ているとQ409のコレクタとアース間に入っているC443は邪魔でしょうと思い撤去
そしてついでに少しだけ定数を変更した
時定数に絡んだC444の0.022を0.033μFに変更
C446の100pFを1000pFに変更
Q408が劣化している気がしたので2SK19GRから2SK192A-GRに変更
C442の2.2μFはタンタルだったのでタンタルからBPのケミコンに交換(個人的にタンタルは信用できない)
部品交換後にSメーターの調整を行ったらマズマズの状態になったのでこれで様子を見ることにした。
このIFユニットも半田クラックを起こしかけている箇所が多くて半田修正も動作確認後に改めて行っておいた。
このユニットに限らないけど、半田を吸取ってみたら抵抗やコンデンサなどのリードが錆びていて半田のノリが悪くなっていることも多々あり、内部で錆が進行してるんだなって思った。
しかもこのIFユニットは両面基板で当時の両面基板のスルーホール処理は今と違って信頼性が低いから余計にややこしいトラブルを起こしかねない
このIFユニットの配線パターンを観察すると両面基板にするメリットなど、どこにも見当たらないお粗末なアートワークなんですけど、いつものようにジャンパー線だらけでも良かったのではと思ってしまう。
次回はヒューズ飛ぶ件について
5. ヒータースイッチを入れるとヒューズが飛ぶ件 2月13日追記
あれこれ修理を進めてなんとか受信は安定して動作するようなので、ここらでようやく送信に関してのチェックができそうだな
最初にも書いた気がするけれど蓋を開けると10W機だったが気が向けば100Wに改造すればいいし、下手に100W改造済みよりも自分でする方が安心なので、それはそれで良かったと思ってる。
では早速 ヒータースイッチ ON 2から3分待てば安定するのかな
よしよしファンも回り始めていんじゃないって思ったので、ワシは奥の方へコーヒーをいれに行った
戻ってきたらアレ? 静かだなっていうか暗いな 表示が消えてる
ははーん ヒューズが飛んだんだな フーン 送信もダメなのかぁ
だけど、これは簡単に想像できた、原因は見え見え
フィラメントが温まって真空管の動作が可能になる頃にヒューズが飛ぶってことは、間違いなくバイアス回路のトラブルだな。
他にも可能性はあるがたいしたことは無い。
確認のため電圧を測ってみたらバイアス回路が浮いてますね
本来は最初に確認すべきかもしれませんがキロW級用の回路をテストしているわけではないのでナメてます、 そんだけの話し。
そもそも、この無線機は回路図や説明書の内容とは異なることが多く行き当たりバッタリの直し方がちょうどいい気がする。
RECT Aユニットのコンデンサを交換している時に気付かんかったです
この赤枠の抵抗R05の10kΩ 1/4Wが燃えてオープンしてました
これが燃えるってどうして?
いったい何が起きたんだろう あれこれ調べてみたけどこれを燃やす原因が見つからない
抵抗を交換して送信してみると10Wきっちり出るので幸い6146Bは無事みたい。
このバイアス電圧調整用のボリュームの使い方は問題ありですね、接触不良を起こして接点が浮いたらって考えると危険な使い方ですね。
たまには壊れるように作るのもメーカーにとっては必要かもしれないし・・・
あとは100W改造のために足りない部品を集めるのと、その時には増幅型ALCに変更しようと目論んでおります。
それらの部品は時間がかかりそうなので、ここらでFT-901ネタはSD・DM共にお休みにします。
コメント
国内、海外とも探してみましたが、見つかりませんでした。当方YaesuのFT736の430MHzのユニットの修理用に探しています。FT736のサービスマニュアルによると430MHzのユニットはND487C2を使用されていて、それ以外の50Mhz,144MHzはND487C1が使用されてていました。
これを書いたら明日までサイトは見ないので書きっぱなしになりますが
何の修理にND487C2をお探しなのでしょうか?
選別したSBDをリングに組むと良いと思うのですが
八重洲無線もND487C用の4本の穴を利用してダイオードを4本差し込んでいますし
ND487C1なら若松通商が安く大量に在庫を持っているようです。
近年はどうだかわかりませんが、以前はアイコムと八重洲には個別に部品を売ってもらった経験があります。メーカーの無線機の修理ということで対応していただけました。
早速の対応ありがとうございます。コアスタッフのオンラインショップを探して探してみましたが、チップタイプのものしかないようでした。
miya様
残念ながら手許の残数もわずかしかないためお譲りすることはできません。
どうしても、ND487C2をお望みならコアスタッフのオンラインショップで入手可能なようです。
当方無線機の修理をしているのですがND487C2がどういても見つからないのですが、ND487C2の予備はお持ちではないでしょうか。