3 月 26

もういちど整理をして考えてみた

すると、どうも納得がいかない事があり今度はきちんとメモをしながら調整を進めた結果
前回の言葉を撤回することとなりました。

6B4Gを317Vで動作させたときの音が最悪だったのは別の原因があり
それなりに追い込むとベストだと思える状態になったので
今の時点での完成型としたいと思っております。

最終的な回路図はこれです

6B4Gシングル ステレオアンプ

6B4Gシングル ステレオアンプ 片チャンネル分

回路図の要所に実測値を書いてます
それと、動作点について納得ができないところもあり再度6B4Gのプレート特性についてのグラフを探してみたところネットに転がってたので繁々と眺めて出力トランスのタップを2.5KΩから5KΩへ変更いたしました。

6B4Gのプレート特性のグラフはこれです
6B4G プレート特性

前回、317Vで使った時は最悪の音がすると書きましたが原因は6B4Gの動作点でした
バイアスが深すぎてB寄りのABだったのだろうと思います
今回、B電圧調整時にその時のバイアス電圧でプレート電流を実測したら38mAしか流れていませんでした。

このグラフを頼りにプレート電流を50mAになるようにバイアスを変えていきグリッド電圧を測ったら -54Vでした。
今回の課題は300Vで50mA、プレート負荷は5KΩでの動作検証でした、実は電源部の変更に時間がかかりました。

で、実測値は50mAの時のプレート電圧は295VとなりましたのでOKとします。

回路図は電源部を省いていますがチョークトランスを使ったパイ型のフィルターです、5AR4から5U4Gに再び戻し(B電圧が上がり過ぎないように)チョークインプットからコンデンサーインプットに変更し負荷がかかっている状態で目標の電圧になるよう抵抗で若干ですが調整しています。
パイ型フィルターのおかげで、ハムやノイズはスピーカーから全く聞こえてきません。

相変わらずの段ボール箱スピーカーですが、この動作点での音は 僕の中での6B4Gシングルアンプとしては過去最高の音質です。

2A3の6ボルト管が6B4Gだと言われていますが
僕は最初から、そうは思っていません
個人的に2A3シングルが良い音がすると思ったことも一度もありません
2A3PPだと、まあまあいいかなとは思いますが・・・

WEの300Bが個人的には好きなのですが手持ちに無いため(2A3は売るほど持っているのに・・・)
外見がちょっと似ている6B4Gを使って40年前に作ったのがこのアンプです。

ようやく6B4Gシングルアンプは40年ぶりの再調整が落ち着き(実はつつきまわした挙句に元の状態にほとんど戻ってしまったのです、変わったのはバイアス電圧程度の事でした)、いろいろと思い出し考えさせられました。
制作当時よりもいい音がしていると感じる最大の原因は、6B4Gの動作点が最適値になっているのか、近づいているせいだと思います
電源部のリップル取りやアース経路の変更など細かい事の積み重ねもあるのでは。
当時はオシロや低周波発振器など、その時代なりの測定器を持っていたのに、追い込めなかったのは若さゆえのツメの甘さかと反省しています。

今回、古い本を引っ張り出して各球の動作点を決定するのに読み返しましたが
意外にも意外なことが書かれていることや、大勢の人がグラフを基に電圧を決めてかかり実働時の計測を行っていないのではないかと思われる記事の多さに驚きました。
もう一つ気になる事として、コンデンサーについては比較的、ある方向に向いている気がしますが、抵抗についてはちょっと違うなって気がします
これは最近の真空管アンプの記事でも同様です。

意外な事というのは回路を工夫して2次歪みを抑えてとかの件
シングルとプッシュプルの違いは2次歪みだと思います(パワー違いますが)
負帰還も使い方でしょうねぇ
僕の作った3極管アンプは2次歪みが多いでしょうね、負帰還もかけてませんしインプットトランスも使ってるし、測定したらカマボコどころか山型ではないかとさえ思える特性だと思います。

2次歪みは人間にとって、あるいは自然界にとって極普通の音でいつも耳にしている音です
楽器を演奏して聞こえる倍音がそうです
もし倍音が出なかったらつまんない音ですよ。
ところが3次歪みのような奇数時歪みは雑音(不自然な状態から生まれる歪みだから)でしかないのです
プッシュプル(PP)回路は打ち消しあって2次歪み(偶数時歪みは)は最小となりますが奇数時歪みは、より強調されるので時としてPP回路は、音が荒くて雑音ぽくなります。
つまり2次歪みは心地よいが、3次歪みは異音と感じるのが普通だと思います。

それと抵抗の件ですが、信号系に関連する部分はコンデンサーだけでなく抵抗も影響していると僕は考えています。
特に真空管アンプは比較的回路がシンプルなので無視されがちとは思いますがカップリングコンデンサーには気を使っても、抵抗類を気にしない人が多いようです。
最近は金属皮膜抵抗ばかりでカーボン抵抗は無くなったのでしょうかね?、巻線抵抗は限られた物しかないみたいだし・・・

  • 巻線抵抗はインダクタンスがあるため音的に良いと感じています。
  • カーボン抵抗は電流が流れると雑音を発するのでホワイトノイズ増えますし温度が上昇すると雑音も上昇します、経年劣化も結構あります。
  • 金属皮膜抵抗は、雑音が出ないみたいで(または0に近いのか)耐熱性も高く抵抗器としての性能はとても良いみたいです。

にもかかわらず、音が良いのは巻線抵抗とカーボン抵抗だと僕は感じています
金属皮膜抵抗は何故か音質的にキンキンするように感じるんです
でもね、今は手に入る部品で作るしかないから良いも悪いもどうしようもありません
それに、回路が複雑になるとホワイトノイズも無視できなくなるので、ノイズの出ない静かなアンプは、もしかするといい音に聴こえるかもしれません。

興味がある人は抵抗器もあれこれタイプを変えて試してみてください
そしたら僕が言ってることを理解してもらえる気がします。

boss

written by boss

3 月 23

この間、段ボール箱のスピーカーの件のあと気になってアンプを弄繰り回してました。

構成は前回も書きましたけど
インプットトランス方式の初段は76、終段は6B4GシングルのA級ステレオアンプです。

気になったところはたくさんあるんですが、特に6B4Gの動作点の事と、ハムが出ることです。

電解コンデンサーも弱ってる気がするし、スピーカーに耳を近づけるとなにやら音がします
もちろん入力は無信号の時の事です
チリチリ ザワ ザワザワザワと小さく鳴ってます、そして周期的に プチッ プチッ ・・・ このプチッて、何かが充放電を繰り返しているような感じです。

丸一日かけてグランドラインの配線変更を行いました
回路が単純なので適当(見せかけ)な1点アースをしていたのですが、冷静によーく見ると、これはアースラインが多数のループを作ってる感じがしたのでそこをやり直しました。
ついでにコンデンサー類は全交換しました、それと抵抗類は各部の動作点を考えて定数を変更したり

<余談>
球が弱っているのは確かなんですが、特に76がヘタリかけてる感じがします
持っている筈の予備が無い事が分りネットで中古を探してみたら
大チャンガラをボッタクリ価格で売っているので買うのは止めてダメになったら別の球で作り直すことにしました。
</余談>

とりあえず、配線を変更し、論理的な1点アースに変更したら妙なノイズは一切でなくなりました。

電源部は最初に作った時はコンデンサーインプット型で10Hのチョークトランスを各チャンネルに1個ずつ独立して配置し出口側にもコンデンサーを入れるパイ型フィルターを構成していました
こんな贅沢な回路なのに少しハムが出ていたのも事実で、最初から配線に問題があったのでしょう。

整流には5U4Gを使っていたのですが5AR4の方が音が良かったので交換しました
ですがこの電源回路のまま5U4Gから5AR4にすると+B電圧が上がり過ぎて、マズいので最終的にはチョークインプットに変更しました
変更と言ってもコンデンサーを1個取り外すだけの事なんですが
面白い事に、チョークインプットに変更したにもかかわらず、アースラインの見直しをしてきちんと1点アースにした事が幸いしハムはとても小さくなりました。
スピーカーに耳を近づけてようやく聞こえる程度のレベルですから、僕としては良しとします。

整流管の違いで+B電圧が違うので、ついでに抵抗も利用して6B4Gを約235Vから317Vの間で4通りくらいの電圧の違いによる動作を試してみました
固定バイアス方式なのでいろいろ試せて良かったです。

プレート電圧に応じてバイアスを変えながら電流を測り、球に負担がかからない程度に動作点を決めて試聴してみましたところ
段ボール箱スピーカーとは言え、それぞれ癖が違うことが解りました
最も音が悪かったのは317V(6B4Gの定格は最大300Vとなってます)で50mAで動作させた時でした
この時のバイアスは-62Vだったかな(記憶があいまいです)
なんだか歪みぽくて音がごちゃ混ぜでした

最終的には250V前後のプレート電圧が一番いい感じです
230Vで電流を大目(70mA)に流すのもOKでしたから6B4Gは230Vから260V程度で動作させるのが良いのかもしれないと思いました。
※ただし、固定バイアスA級シングル動作の場合です。自己バイアスの場合は、どうなるか分かりません。

たまたま、近所の部品屋さんに行ったら、オレンジドロップを売っていたので
カップリングコンデンサーは今までのシルバードマイカからオレンジドロップに変更してみました。

段ボール箱スピーカーも、そろそろ木の箱に入れてやらんとな
それと40年前に作った6V6シングルアンプも鳴らしてみたいし
EL34とか5998のアンプも作ったのに、どこへ行ったのだろうか・・・ 我が家の倉庫は不思議だ

とりあえず 今日はこのへんで
アンプネタはしばらく続く気がする・・・

boss

written by boss

3 月 08

MS-210Jというスピーカーの修理をしました。

アンプ内蔵のステレオ・スピーカーです

MS-210Jを並べたところです

MS-210Jを並べたところです

このMS-210Jは僕のではなく友人のモノです
なかなか手に入らなくてようやく買えたようなことを聞きました
すげー人気があり品薄だとか・・・ 僕には分かりません

症状はスイッチを入れて数分以内くらいで異常な音が出始めます
スピーカーに付いてるボリュームとか入力の有無に関係なくそうなるとの事でした。

とりあえず、持ち帰り消費電力を測ったら13Wから20Wくらいです
これはその時の調子で変動しますが少なくとも14W以上食ってる時の方が多かったです。
製品としての定格出力は知りませんが完全A級アンプでも組んでるのかなって思いました。

スピーカーの中にアンプ類も入ってるので取り出して調査開始

Power ICが使われていますね、デジタルアンプじゃなかったので個人的にはガッカリです
基板は見ての通り チャンガラです

これはICと放熱器を取り外した状態です

これはICと放熱器を取り外した状態です

ICの型番を見たらTDA2030ALと書かれています
放熱器への取付も面白いですね
シリコングリスはIC周辺にバカみたいに塗りたくってますが、肝心な所に塗ってる気配がありません。

TDA2030ALとヒートシンク

バッチリ、グリス塗ってますよー いらんとこに

TDA2030ALシリコングリス塗ってないよ

やっぱ肝心なとこには塗ってない

全部つながったままスイッチを入れて放置すると放熱器が触れないほど熱くなります
検温したら100度超えてました
とてもじゃないけど、このスピーカーボックス内でこの温度は放熱できませんね
つまり熱暴走するだけです、いま正に熱でぶっ壊れるところなんだろうなー
そんな下らんことをブツブツと唱えながら思考を進めます

まあ、いろいろありますけど修理する前にい、いくつか考えておく必要があります

なぜ こんなに熱いのか
それは正常なのか異常なのか
これが普通ならこのMS-210Jを買った人は全員使い物にならず返品の嵐のはず
TDA2030を知る必要がある

TDA2030ALのデータシートをネットで探してメーカーのサンプル回路と合わせて検討しました
その時に、実はTDA2030を使ったアンプは人気があるらしいという事を知りました
いつもの僕の癖で へー こんなものがねって感じです

本題はデーターシートを見るとTDA2030のアイドリング電流は50mA程度ですから
電源電圧から考えて1個当たり1.5W 2個で3W 電源トランスの消費を考慮しても

音が出ていない時はせいぜい全体で4W以下に収まると思いますが
スイッチを入れるといきなり14Wだったり20Wだったりと激しいです

このTDA2030を使ったオーディオアンプキットもたくさん見つかりました、どれを見ても放熱器が小さいです
とても20W近い装置の冷却には使えない小さな放熱器が使われていて
このことから考えても、やはり異常が発生していると考えられます。

さて、問題はその原因ですが、ここからは推理が必要です

  1. 異常発振を起こしている(これは耳では聞こえない高い周波数での発振です)
    メーカーのデーターシートでは発振止めの部品を付ける事を推奨していますが本品には省略されています。
  2. 異常発振の原因にもなるのですが、回路全体の利得を上げ過ぎているのではないか
    CR型の簡易イコライザーが組んであるのでロスを補うのに無理してる気配
  3. TDA2030が不良品(片チャン、それとも両チャン)
  4. コンデンサーリーク
  5. 電源のインピーダンスが高すぎ(コンデンサー容量抜けか?)

深追いする程のネタでもないので結果をお伝えすると
両方のスピーカーから音は出せるのですがTDA2030ALが1つ不良になっていたので交換し
念のため利得を少し下げるために負帰還用の抵抗を交換しました。

修理後の写真とか、基板を見ながら書き出した主要部分の回路とかは以下の通りです。

TDA2030を2個と抵抗を交換し修理完了です

TDA2030を2個と抵抗を交換し修理完了です

MS-210Jの背面です

MS-210Jの背面です

ここの、背面には入力がRCAとミニジャックの2系統ありますが独立しているわけではなく、単純に並列接続のため、どちらか1方だけにプラグを挿して使うようにした方がベストです。

片チャンネル分だけ書き出しました

片チャンネル分だけ書き出しました

片チャンネル分だけ基板を見ながら書き出してみました
±15Vの両電源構成です、最小限の部品で構成されています
調べたら不良になっていたICは1個だけでしたが、入手できた部品の都合で念のため2個とも交換しました
TDA2030AL から TDA2030Lに変更し 47KΩは33KΩにしておきました。

これでアイドリング時は全体で3Wに収まり不必要に過熱しなくなったので完了としました。
ガンガン音を上げていくとそれなりに電流が流れますので、この製品はどっちにしても大音量で長時間聞くことは難しい気がします。

boss

written by boss

2 月 13

何気に ゲルマラジオ を作りたくなりました
たしか物置やら書類室に古い部品を収めてるから探せば一通り必要な部品は有るはず
作る前に似たようなラジオ制作のマニアがいるのかネットで検索してみた。

凄いね 大勢いました みんなすごく工夫して作って 聴いて 楽しんでる

ゲルマラジオって何? それぇ
普通はここから説明が要るのかなもしかして

そういう疑問はとりあえず置いといて話しを進めると

ゲルマラジオの重要部品の一つにイヤホンがあります
構成部品が少ないので、どれも重要ですがイヤホンの性能は特に重要なポイントなんです
これがポロイと他をどう頑張っても音が小さくて聞きにくいです。

理想はロッシェル塩式のクリスタルイヤホンがあると良いのですが現在は作られていません
これ以外の部品は現在でも簡単に入手可能だから問題ありません

現在はそれに代わってラミックイヤホンになってます、とても効率の悪い(つまり感度が悪い)イヤホンです。

昔(40年くらい前の事です)はクリスタルイヤホンをたくさん持っていましたが
いつ捨ててしまったのか どうして捨ててしまったのか  謎です。

イヤホンの説明は割愛する代わりに興味ある人はここを読んでください、いい感じの説明を書かれています。

ちょっと気分転換にゲルマラジオでも作ろうと思ったのですが
ネットで偶然見つけたこのサイトが楽しそうなので ゲルマラジオを作らずして、このサイトを見ただけで満足してしまいました
ここの 無線の ラジオってところをクックするとゲルマラジオの事がいっぱい書いてあります。

boss

written by boss