8 月
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今回はトランジスター式ミニワッター15V版Part5を作ってみました。
ぺるけさんのアンプはこれで3台目です
このアンプの設計の詳細は以下のサイトに記載されています
http://www.op316.com/tubes/mw/mw-15v-p5.htm
アンプ部の回路図はこちらです
回路図中に一部ですがアイドリング時に実測した電圧と電流を記載しています。
回路図は基板を特注する時に12V版Part6から19V版Part5まで対応できるように、実装しないけど必要時には取付できるように入力部のR1とドライブ段のD4を書き入れてます。
入力部のR1はボリュームを搭載するので取付しません
それとD4は取り付けずにダイオードの代わりにジャンパーします
ヘッドフォンアンプも回路構成が同じなのでこの基板で作ることができます。
以下が今回特注したアンプ部の基板です、左右独立電源として計画しているので基板上でのアースラインも独立しています。
電源部について
以前の19V版と同様に正負両電源の左右独立型にしようと最初は考えていたのですが、電源トランスを買う気にならなくてACアダプタで簡易に済ませる事にしました
これも手持ちには16Vのタイプしかないので小細工して利用します。
簡易に済ませるということで、ぺるけさんが設計されていた疑似両電源の回路を利用します、ここの部分を真面目に作ると疑似両電源はかなり複雑化して部品点数が増えますので無意味にこだわらないのが得策です。
僕はリレーを使いたくないのでステップスタートはリレーに代わってトランジスタで行っています
R9とC4の時定数と6.8Vのツェナーダイオードで立ち上がりのONタイミングを作っています
突入電流はR11の18Ωで抑え込み約2秒後に2SA1359がONになります
これのおかげでポップノイズは皆無です。
実測してみたら「a点」の電圧が10VくらいになるとDTC114がONになって、その結果2SA1359がONします
リレーと違って僅かに電圧ロスが発生しますが実測で0.14V程度ですから無視できるはずです。
このステップスタート用トランジスタはPNP型を使うのが必須です、回路を変えてNPN型にするとロスが大きすぎてよくありません。
DCイン側にチョークコイルを入れています、470μH2.5Aという仕様です(秋月電子)。
この470μHや18Ωなど可能な限り手持ち部品を使っているだけのことですから参考にお作りになる方は多少の違いは気にする必要はありません
R11の18Ωは、どちらかというと15Ωくらいがいいように思います。
15V版と19V版では6.8Vのツェナーでいいのですが12V版用には4.8Vの方が良いです。
デジトラのDTC114は2SC1815で代用できますが、その時はベースバイアス用の抵抗を入れてください。
でっ の電源部も基板にしました
画像の上側の小さい方が今回使った疑似両電源の基板で、下側のは左右独立両電源用の基板です。
左右共用疑似両電源で、しかもこんなに簡易な回路でどうなるんだろうと思っていましたがACアダプタを使うことで全体的に安上がりとなり経済的ですね。
この電源部の2SC3422と2SA1359は選別時に最もHfeの低いハズレ物ですが活躍の場があり良かった良かった。
アンプ部について
回路の詳細を知りたい方は、ぺるけさんのところで説明を読まれた方が確実です
僕は基板にして一気に組み立てられる状態にしたので、その組立について少し説明しておこうと思います。
【初段】
基板上にはR1の120kΩが書かれていますが、ボリュームを実装するためこの120kΩは取り付けません
ぺるけさんはR2のところは560kΩですが僕は持っていないので手持ちの470kΩを使っています。
初段は2SK170BLの選別品です(ぺるけさんの頒布品を利用)
ここは2つのFETをエポキシで貼り付けて熱結合させます。
2SK170はアルコールで拭いて油分を取り除きます、続いてよく練ったエポキシを塗って印字面どうしで貼り付けます
貼り付けたらズレが無いように(かっこいい仕上げの為には大事です)慎重に位置調整します
事前に用意しておいたビニール袋の上に立てます
立てて位置調整をしドライヤーで少し熱を加えるとエポキシがジェルから液状になりますので、ほどほどなところで止めます
それで一晩乾かします。
この時の様子は以下の画像を参考にどうぞ
一晩乾かしたら十分に硬化していると思いますのでビニール袋から取り外します
エポキシはビニールには接着できないと説明書に書かれているので、事実簡単に綺麗に袋から外せます。
外すと羽が生えてますからニッパーで切り取れば美しい熱結合ペアが作れます。
【次段】
次段の2SA1680はまとめ買いした中から選別して左右合計4個共にHfeが揃ったのを使いました
19V版の時には、次段の熱結合はさせなかったのですが、今回は面白半分で熱結合させてみました。
もともとここの部品配置は19V版で使う2SA1359用のTO-220に合わせているのと初段とは違って正対するように配置していないため、TO-92(L)を結合するのは正直手間です。
それで銅板を加工して無理やりくっつけるようにしました
用意したのは0.3ミリ厚の銅板です、それを幅9ミリの短冊状にカットし2個の2SA1680を巻き込みます
最初26ミリ長で作ったら、少し長かったので次は24ミリ長で作ったら短すぎたので、真似をするかたは25ミリ長がお奨めです
とは言っても、エポキシで固めるので釣り糸、綿の糸、セロハンテープ等々 何でもいい気がします
簡単に画像で紹介しておきます
トランジスタの直径が5ミリだったの、それより少し細い物に巻き付けてトランジスタの形状に合せます
僕は4ミリのキリに巻き付けました、少し真ん中をペンチで絞って端っこは最後にペンチで曲げて加工します。
その後、ビニールにトランジスタの足がちょうど通るように穴を開けて挿します
挿したらエポキシを上部に少し盛る程度に乗せたら、ドライヤーで温めるとエポキシが解けて隙間に入り込みます
これで一晩乾かすと完了です。
その他、左右チャンネル用に選別したのは2SA950と1S2076Aです、ここの定電流回路が左右チャンネルで大きく異なるのは楽しくないので特性の揃ったのを使いました。
【終段部】
ここは前回12Vの単電源仕様Part2で使った2SC4881と2SA1931の音が気に入ってるので、もしかしてアレはコノ石の音かも・・・と思って
今回は2SC3422と2SA1359の組合せは使いませんでした
ということで2SC4881と2SA1931を使いました バイアス用のダイオードはUF2010です
UF2010は32mAの定電流で計測し選別しました
放熱器は30ミリ幅 3ミリ厚 のホームセンターでも売っているアルミの棒(板かな?)を10センチの長さに切って4つのトランジスタを取り付けました。
バイアス用ダイオードは基板から少し浮かせて終段のトランジスターにシリコングリスを塗って密着させます。
以上で基板の組立は完了です。
動作確認してみる
とにかく基板をミスしていない限り部品を取り付ければ動きますので、すべての部品を取り付けて仮配線したらバラックで電圧の確認をします
入力ピンをショートしてスピーカーの代わりにダミー抵抗を付けて計測します
アイドリングはスイッチON直後は約105mA、熱安定した状態でそれぞれ84mAと87mAでした
DCオフセットは組立後の未調整時ではマイナス5mV程でしたが1時間放置後に0mVに合わせました。
電圧はACアダプタの出力が16Vのタイプです、そのためシリコンダイオードを直列に入れて電圧を落として使います。
ダイオードでロスって電源基板には15.17Vがかかっています
途中チョロチョロとロスってアンプ基板には14.82Vが入ります
疑似アースから見た電圧はプラス側が7.45V、マイナス側が7.34Vです
思った以上にいい感じでバランスしています
片チャンネルあたり約160mA流れています(アイドリング時)
電源部は数十mAほど食ってます
ACアダプタを含めた全体の消費電力は約7Wでした、あれこれ逆算するとアダプタのロスは1.5W程度です。
これで一通り完成?かな
音は好みがありますから書く意味も無いのですが駄耳なりの印象として
低域の音の出がとてもいいです、しかもキレがある
12V単電源仕様よりも明らかに一つ一つの音がはっきりしている
この音を聴いていたら最初に作った19V版の終段を2SD2012から2SC4881の組合せに替えてみたくなった。
でもねずーっと聞いていたら、その音に慣れるから最後は何でもいいのかもしれない。
さてさて、今回もケースは悩みます どうしよう
いまのところ とにかくめんどくせぇ しかもケースは高価すぎる とても買えません
それでバラックのままでは不便なのでケースには入れないけど一塊にするだけでOKと思い
2ミリ厚で10センチ幅 長さ30センチのアルミ板を買って半分に切り分けて、前回の12VPart2と今回の15VPart5をそれぞれ乗せる事にしました。
約15センチの板を穴開け加工後にコの字に曲げただけのシャーシにむき出しで取付です
ちょっと醜態を晒してみる
むき出しの為、温度変化によるDCオフセットが気になるかもしれないが、実測してみるとズレは全く問題ない許容範囲です。
ついでに12V版Part2はこれだ
持ち歩くわけじゃないからこれでいいのだ。
2021年12月23日追記
こちらの記事は電子工作室の方もごらんください。