Bluetooth受信基板

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AmazonでBluetoothの受信基板を買いました

このBluetooth受信基板はAmazonで買えます

画像をクリックするとAmazonのページを表示します。

商品名はKKHMF 2個 Mini ブルートゥースデコーダボードMP3モジュールとなってます
2個で896円(税込み)でした
これって全く同じもの、またはよく似たものなど数える気にならないくらい販売されています。もちろん商品名も違いますが基本回路は同じようです、チップメーカー推奨のまま作っていると思います。

この基板は2つの基板が切り離されない状態で販売されていました、真ん中にVカット処理がされているので軽くカッターナイフで切り込みを入れてやれば簡単に奇麗に分割できます。

通電前に目視でチェックしときます

使われているチップが全く素性が不明で動かしてみるしか手が無いですね
1チップでBluetoothとDACが搭載されているみたい
チップに書かれている型番は「AC20BP09639-025C4」となってる これなんやねん
JLのロゴはあるがJLではない?
中華は不思議な国だな

3センチ角の基板に数えるのも簡単なほど少ない部品数で構成されていてUSB端子・ミニジャックが乗ってます。

2つあるので燃えてもいいから、とりあえず通電してみようか
3.7Vから5Vで使えるみたいだけど乾電池2本の3Vで動かしてみたら
あー 動くね 電池は中古なので2.9Vくらいかな このままでもいいのかも

ノートPCにWave Geneというソフトを入れてテスト用音源として使いました
簡単にペアリングが完了 名前はXYーBTと表示されてるね
基板のR・Lのところから線を引き出してオシロで波形を見てみます。
負荷としてはなにも繋げずオシロのみ接続です
Wave Geneの周波数を変えてザっとみたところ2.9Vの電源電圧だと低域で不安定となり発振気味な様子だったので乾電池3本にして実験を続けることにしました。

消費電流は待機時は7mA程度でペアリングが完了すると14mAくらいでした、オーディオ信号が入れば20から30mAくらい流れます。
基板にあるLEDは待ち受け時に点滅しペアリング完了すると点灯になりますが、信号が入ると(データが転送されている状態)点滅になるため、利用中は結局ずーっと点滅しているため個人的には鬱陶しいです。

この手の商品は、今は買えても明日もあるとは限らないし、その時々でなにかしらあると思うので、この機種に特化したアレンジはしない方向で考えています。
つまり、こんなオモチャを買った時には、どんな料理をすれば実用できるのかのヒントになればいいと思ってますので、参考になればそれでよしとして必要以上な深追いはしません。

回路を考察していきます
BluetoothとDACが1チップになった基板だと思います
オーディオ出力はDACの出力に、なんの処理もせず100μFのコンデンサで出力されています。
出力は2系統ありジャックを通して取り出すか、または基板から直接配線で出すかの2通りが用意されています。
ここでのポイントは、このあとのテスト結果により判断することにはなりますが、先に答えを書いておくと出力にミニジャックがありますが、イヤホンやヘッドホンを挿すことは可能ですが、使い物にはなりません。(ただし、それなりの音はでるよ)

負荷に抵抗を付けて特性を測ってみました、テストに使ったのは適当ではありますが27Ωと9.1Ωの抵抗を用意し2通り計測してみました。

計測データから言えるのは27Ωの負荷だと、100Hzあたりから低域はダーッと落ちます
これが9.1Ωだと400Hzあたりからダーッと低域が落ちる
つまり、直接この基板にイヤホンとかヘッドホンとかインピーダンスの低いものを繋いで使うと音が悪すぎる。

試しに1000μFをパラってみたら10Hzあたりでも低下せずに出力できるのは確認しましたけど、人によってはそれもありかな
高域については5KHz辺りから上はノイズが増えて15kHzあたりでは見られたもんじゃない。

次の画像は10Hzの時です、黄色は1000μFをパラって基板上の100+1000の1100μFが出力のコンデンサ容量です。
青色はオリジナルの100μFのままで計測してます。

10Hz

次のは20Hzの時の状態です。

20Hz

実はこれらの画像は負荷をどうしていたか忘れました、27Ωの抵抗をつけてたような、オープンだったような、どうせこのままでは使い物にならんので参考程度にお考え下さい。

つづいて20kHzの時のをご紹介しときます。

20kHz

この測定の時は1000μFのコンデンサは外していて100μFのままです。
これ、普通に同期をかけて連続計測したら、それなりにサイン波形に見えるのですが歪が多数含まれている感じのため、わかりやすくするのにシングルショットの波形です。

でっ本命の、このBluetooth受信基板をどう料理するか
DACから生だしの波形が奇麗なはずはないので(高価なチップなら内部で処理されているのかもしれないが)庶民の味方はLPFですよね
CRだけのモノもテストしてみたけど2段にしないとパッとしなかったのでLCフィルターで構成しました。

2.2mHは秋月電子で買ったものでリード型のインダクターです、DCRは11.5Ωほどありました。これと0.01μFのフィルムコンでLPFを構成するのですが、そのままだと帯域内がフラットにはならず高域がかなり持ち上がってしまうため、LのQを下げるために560Ωの抵抗を入れています、この抵抗はあれこれ取り替えて測っていたのですが、じれったいので1kΩのボリュームでデータを見ながら最適値をみつけたところ545Ωでいい感じになったので近似値の560Ωの抵抗としました。
これで10Hzから20kHzまでの帯域内を0.2dB未満程度のフラットネスでカバーできました。

LPFを通過後の波形は次の通りです

LPF追加後の20kHz特性

つまり、Amazonのレビューなんか見てたら、腕に自信がある人はコンデンサの増量でいい音になった、みたいな書き込みがありますが、高域の歪なども考慮に入れるとコンデンサの増量よりも、基板には手を加えず使い方で対処する方がいいと思います。

勘違いしないでほしいのはLPFを入れて奇麗になったけどイヤホンなどを繋いでいいわけではありません

この基板の最大出力はLPF通過後940mVrms程度なので、メインアンプを押すには少し足りないです、感度のいいアンプをお持ちならいいのですが、ワシのは感度が悪いので本来なら何らかの方法で1.5Vrms程度には上げたいところですが、そこまで本気になりたくないので、足りないと知りつつもぺるけ式アンプのトランジスタアンプに繋いで聴いております。

電源の処理についてですが、乾電池で動かしているので、ノイズフィルターを付けるとか何もしないでいます。
電池の代わりにUSBから電気をもらうと試してはいませんがノイズが気になります、基板上のUSB端子を使うとノイズ処理のための改造は困難です、方法はいろいろあるにしても、他のアンプとどう組み合わせて使うのか、汎用性を持たせるのか、そこらの方針でやり方が変わってくると思うので、ワシの場合はしばらく乾電池で動かすことにします。

音について書いてなかったね、とてもクリアーで静かですね(残留ノイズはかなり低いと思われる)、以前に作ったJC-303のものと同様に使えてます。おそらく余計な処理がされていなくてシンプルなのが好結果に繋がっているのではないでしょうか。
中には、このチップとOPアンプを乗せたのもありましたけど、あーいうのが危険なんだよな。


後日談

その後、手持ちのぺるけ式アンプの中からどれかをBluetooth専用にしてもいいかと思って組み込んでみました。

最初にPart5の15V版に組み込んでみました、疑似両電源なので+側から7.5Vをもらって降圧してもいけるかなと思ったのですが、残念ながら疑似両電源は+-のアンバランスを吸収する能力が無かったので別のアイデアが出るまでは止めにしときました。
代わりに確実に問題なく使えるPart2の12V版なら単電源仕様なのでこれに組み込むことにしました。
最初の実験で待ち受け時には数mA程度だと思っていたのですが、オシロで電源ラインを観察していたら、ペアリングの待ち受け時でも定期的にドバーっと電流が流れるみたいだし、ペアリング後は最大30mAで安定するのかと思ったらピークはもっと流れるみたいでした。
それで疑似両電源の+側が瞬間的に引っ張られてアンプ側まで動作が変になるため絶縁型の電源でも用意しない限り、簡易な疑似両電源では今回の使い方には適していないことが判明しました。

コンパクトにまとめるために、まずはBluetooth受信基板を小細工することとLPFと12Vから4.5V程度への降圧回路をユニバーサル基板に乗せる作業をします。

XY-BT

ミニジャックを取り外して、電源のところへpinヘッダーを取り付けます。

pinヘッダーでなくてもいいのですが、高さの調整にちょうど良さそうだったので。

それから、LPFと降圧回路を作ります。

降圧回路

2SC1815を使いましたが余裕がないので、もっと電流が流せるトランジスタの方がいいです。

簡単な回路ですなぁ
とくに安定化する気もなく最小限です。

これで12Vから4.5Vを取り出してBluetooth基板へ供給します。

こんな感じにしました

100μFのコンデンサは立てると収まらないので寝かせました。

LPFのインダクターは平行に配置するとクロストークが悪化するので90度に取り付けてます。本当は数センチ以上間隔をあけた方がいいのですが大きくなるので最少の距離で影響を受けにくくするための処置です。理想はコイルの軸心で直角に配置するといいのですが・・・

Bluetooth基板とLPF関連の基板を組み合わせた状態です。

Qダンプ用入力側の抵抗はこんな感じで出力コンデンサのところから取り出してちゅーぶら配線としています。

もしアンプ自体を金属ケースに入れていたら、アンテナについても外部に繋げるように小細工がいるのですが、今回はオープンシャーシーに乗せた形状なのでそのままシャーシーの裏側に両面テープで止めています。

両面テープでいきなり貼り付けると、アンテナがシャーシー近すぎるためアクリル板を加工して1センチほど離しています。
入力用のRCAジャックは気が変わった時用に残してます。

これで、12Vの電源を繋いだらアンプとBluetooth回路がオンラインになるので手間が省けました。
なかなかいい感じで使えてますよ、この基板は安いし半田も珍しく奇麗に仕上げてあるし買っても損はないかなと思います。


さらに追記しときます 数日聴いてみた感想

音は悪いとは言えないけど、音楽を対象とするなら、ちょっと好みではないかな・・・
DACのチップでPCM5102が乗ってる現用中のJC-303の方が音楽性が豊かで聴いてていい感じですが
このJLのチップが使われているのは音が薄っぺらいとでも言うのか物足りなさがあり
昔流で言うHIFIとは言い難い気がします。
クリアーなサウンドですが好みが分かれるところなのかなぁと思ってみたり。

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