2SK2881は高周波で使えるのか

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今はラジオとは直接関係しないけどぺるけ式アンプ用に大量買いした2SK2881の選別漏れがたくさんあるから何かに使えないかと思案して何気に思い付いたのが高周波回路への転用なのだ。

本来なら高周波回路だと2SK241が来るところなんだけど、最近分かったのは2SK241がディスコンなんだね、もちろん探せば売ってるとこありますけど値段見たらありえないと思っているのはワシだけか・・・

とにかく秋月電子で安く買えることを前提で考えると今ならJ211かBF256Bが王道だと思う。

さて、2SK2881はオーディオ用ローノイズNchのJ-FETなわけですが、この2SK2881は高周波回路で使えるのでしょうか?

これから新規で買う人はJ211かBF256Bにすればいいと思う


まずはこんな基本回路で試してみた。

実験1の回路は平凡であり基本でもある接続図です、ソース設置でドレインには1.2kを入れてます。電圧をかけると2SK2881ランクEのIdssなりに5mA以上流れます、利得は最大かもしれません。

電流が多いため、最初5Vで始めたけどドレイン電圧が0V近くになるため実用性がなく12Vに上げてます。

この実験1の回路だと12Vくらいで使うなら、もちろん使えますが波形を見たら上下非対称の歪が目立つものとなり使う気になりませんでした、ただ高周波でも使えるのはわかりました。

それで、負荷のドレイン側の抵抗をどうこうするよりもソース側に抵抗をかます方が動作的には理にかなっているためソース抵抗を入れます。

ソース抵抗のおかげでいい感じに落ち着きました、電流は2.1mAくらいになりました、3Vくらいからいい感じに増幅してくれます。

12Vから6Vにして実験を続けます。

5MHz

黄色が入力で青が出力です。レンジの違いで出力が小さく見えますが実際には入力366mV・出力1.32Vです。

つまり増幅されています

周波数は5MHzです。

実験2の回路で5MHzの時、入力/出力の比は3.6倍あるので電圧比で約11dBってことになりますね。

500KHz

この画像は500KHzの時です。

入力が396mVで出力が4.24Vあります。

入出力比が10.7あるので約21dBってところでしょうか


ここまでは抵抗負荷でやってるんですが、R2の1.2kをコイルにしてみます、手持ちに1mHのインダクターがあったのでこれを使ってます。

ドレインの負荷を抵抗からコイルにしました電流はソース抵抗で規定されているため同様に2.1mAです、コイルにしたので電流はそのままです。

抵抗からコイルにしたことで動作電圧よりも高い電圧が出せると思います。楽しみですね。

そこんところを期待して電圧は6Vから5Vに下げます。

1MHz
3MHz

発信器からの周波数を変えていくと、どうやらインダクターがどこかに共振している様子でした、調べてみると500KHzあたりで最大利得になります。次の画像がその時の様子です。

500KHz付近で最大となり歪む

歪んでいますが共振点以外では奇麗な波形になります。

これが500KHzの時です。

面白いのは182mVの入力で11.4Vの出力です。さすがインダクターです。62.6倍ありますから約36dBということでしょうか。

この状態でふと頭をよぎったのは455KHzのIFアンプにはこれでいんじゃねぇこれ2段にしたら、あれこれ調整して60から70dBのIFアンプに使える気がします。


1mHのインダクターに4.7kを抱かせてみました。

出力が小さくはなりますが波形はきれいになると思う。

特に発振するわけではないのでダンプ抵抗は実験時の気休めです、なんせ入出力のインピーダンスを無視した実験なので・・ でへへ

この回路の時の条件で調べると使ったインダクターの1mH(秋月電子で売ってるよ)は565KHzに共振してました。ストレー容量も関係するしブレッドボードは結構ストレー容量が大きいので基板に組み立てたら違う結果になると思います。

R2のダンプ抵抗は4.7kを使いましたが、実験では6.8kあたりがベストのようでした。


ここまで来ると2SK2881は何メガまで使えるのか気になってきたため、主題である2SK2881は高周波で使えますかの答えを得るためにさらに実験をしてみます。

手持ちにFCZの7MHz(7ミリ角のタイプ)のコイルがあるのでドレイン負荷を同調回路にして高周波増幅器らしくしてみます。

L1はFCZの7MHz用、C4のコンデンサをいろいろ変えて動作を確認しました。

L1の二次側から出力を取り出すため見かけの出力電圧は低くなります。

この実験5の回路でC4は100pFで7MHzの仕様です、ついでに2SK241だとどうなるのかってことで、左に2SK2881、右側に2SK241を使った時の画像です。

2SK2881

2SK241

2SK2881は入力92mV・出力944mV、 2SK241は入力92mV・出力1.16Vでした

なんだか2SK241の圧勝かとおもったら、たいした違いがないですね。

では2SK2881は一体何メガまで使えるのかってことでC4の値を小さくして15MHzあたりまでテストしてみたら、実用利得が得られるのは10MHzあたりのようでした。

2SK2881を10MHzで使った時

数値的には10MHzで20dBあります、13MHzあたりになるとかなり低下するため、10MHzを上限にしとけば間違いないかなって気がします。

冒頭にも書きましたが、これから買って何か作るならJ211かBF256Bが安いのでおすすめです、今回の実験はラジオを作るのに最初はゲルマラジオから初めて、次はFET検波とかって思った時に、調べたら2SK241がディスコンなんだと感じたので手持ちの中から代用品を探そうと思ったのがきっかけです。

少なくとも中波のスーパーラジオくらいには十分使えることが分かったし、IFを10MHz以下くらいで設計する場合にも使えるし知ってて損はないかなと思います。※そもそもFETである必要もないのかもしれない。

2SK241は内部がカスコードされているため双方向性がなくATTには向かないしmute回路にも使えない、適材適所なわけですが回路を設計し作るときに多数種類の半導体で作る方法はごく普通ではありますが、同じ品番の半導体で構成すると作りやすくメンテしやすいです。

どっちにしても最近までは2SK241でFET検波のラジオをもう少し実験してみようかと考えていたのですが、高価なのでやめて別の安いので実験してみようと思っています、その時に2SK2881も試してみる予定です。

でっ結論は 2SK2881は高周波回路でも使える

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