あれこれ残念なことに
8 月 12

6B4Gシングルアンプを凝りもせず改造しました。

悶々としたまま無視するわけに行かなくて
気になっていた自分なりの課題を片付けるために今回は思い切った改造となりました。

正直 音なんてその時の気分や気候でも違って聴こえるから改造の意味なんてあるのかな?・・・
しかも肝心な入力ソースとしてまともなものを持っていないアホらしさもあって
自問自答と闘いながら作業を進めました。

設計目標(課題)は大きく分けて4つです

1. 電源部の見直し
2. 入力インピーダンスを上げたい 150Ω→30KΩから50KΩを目指す
3. ダンピングファクターを高める
4. 計測して実際の性能を確認したい

夫々の補足説明をしておきます

1.の電源の見直しの件

パワーMOS FETでリップルフィルターを作りました(図1A)

パワーMOS FET リップルフィルター

パワーMOS FET リップルフィルター

このリップルフィルターは性能が良いのでチョークトランスは不要になりますが、取り外すと見た目がブサイクなので残しました
ここはチョークトランスの代わりに150から200Ω程度の抵抗で十分だと思います。

図1Bは失敗作です、最初は部品数を減らして気にせずスイッチを入れたら、あっけなくFETが壊れました。
ゲートとドレインがショートしてしまいました、おそらく発振し壊れたのでしょう、手抜きはダメね。

ゲートに抵抗ないから壊れました

ゲートに発振止めの抵抗ないから壊れました

ついでに全体の消費電力も減らしたかったので整流管(5U4GB)を止めてシリコンダイオードの整流回路にしました、
このことで整流後の直流電圧が整流管よりも上昇しますがFETを使ったリップルフィルターは出力電圧の調整は比較的簡単なので問題ありません。
ただし、シリコンダイオードで整流すると電源トランスから取り出せる容量が整流管の時より低下するのでトランスに余裕が無い時は要注意です。

2.の入力インピーダンスの件

40年前に、このトランス(タムラの600Ω:10KΩでTKS-2/写真1)を使いたいだけの理由で設計していたのですが、先日作ったUSB-DACの出力が25KΩ以上の負荷を想定しているため取り外すことにしました。

TKS-2 600Ω:10KΩのトランス

写真1 タムラのトランスTKS-2 600Ω:10KΩ

サイズの比較用にタバコと一緒に撮ってます、当時は中古で600Ω:50kΩを探していたのですが見つからずこれを買って帰りました。

3.のダンピングファクタ(DF)の件

どうやら手持ちのスピーカーは低域をいい感じで駆動するにはDFを高くする必要があるみたいです
つまりDFを確保するために無帰還のアンプから負帰還(NFB)を使ったアンプへの改造となります。

2.と3.の関係について

2と3の件は絡んでいて、入力インピーダンスを上げるにはトランスを外して初段の76に突っ込めばいいだけの事ですが
それすると、このアンプは全体的に利得が足りません、76と6B4Gはどちらも感度が悪く利得の低い球ですから
それとDFを上げる方法としてNFBをかける為にも増幅段を追加することにしました。
今更、入手が難しい球を使うのは止めてFETのアンプを76の前に入れる事にしました

全体の構成が纏まってきたところで主な改造点をパート毎に説明すると・・・

  • 初段のアンプ部

今回、初段となるFETは2SK30Aで、バラックでテストし動作電圧と抵抗値を計測しながら決定しました。

※このテストのために1.25Vから35Vくらいまで可変できて電圧・電流表示できる電源を作る羽目になりました(写真2)。

安定化電源1.25V-33V

写真2 電源1.25V-33V

図2の回路で利得は約24dBとれました、これを基本形として実装用にアレンジしました
ソース抵抗のところにはバイパスコンデンサを入れません、入れると利得が取れすぎるので今回は無しとします。

図2 2SK30A 動作点考察中

図2 2SK30A 動作点考察中

  • 初段アンプ用の電源

初段FETアンプへの電源は300Vラインから30Vへ簡易な変圧回路で賄いました、高圧部のリップルフィルターを通した後に、似たような回路で降圧です。
図3の通りツェナーダイオード(ZD)を使って30V出力を得ています

初段用電源部

図3 初段用電源部

手持ちの都合で3本のZDとシリコンダイオードを組み合わせて調整しています。
120KΩの抵抗を入れていますが200KΩでも上手く行くと思います
僕はZDに2から3mAくらいは流したかったので120KΩとしています
ZDの型番が不明で機能するのに最低電流が分らなくて、試すのも面倒だから経験則で決めました。

図2の初段と図3の電源部はシャーシ内に実装しやすいようにユニバーサル基板に組んで適当な位置に配置し配線しています。
写真3のようにFETアンプ部2個と電源部1個です。

ユニバーサル基板に部分別に作る

写真3 ユニバーサル基板に部分別に作る

あっそれと、今回はVRを入れました
鉄のフレームに穴を開けてアルプスの2連VRを取り付けました。

最終型の回路図を載せときます
今回は珍しく回路図を書いてみました、ですが改造後に思い出しながら書いたものなので少し違うのは分っているのですがポイントは押さえているので良しとします。

6B4Gシングルアンプ改 ハイブリッド回路図   図4

6B4Gシングルアンプ改 ハイブリッド回路図   図4

上記の回路図は現時点での最終回路図です、記載している電圧等は実測した値です。

回路の説明

初段2SK30Aと次段76は直結しています
つまり2SK30Aのドレイン電圧が76のグリッドバイアスとして働きます
76のグリッドには+15Vが印加された状態ですがカソード抵抗R4の働きで最終的には76のグリッドバイアスは-8Vから-10Vに落ち着きます。

76には約3mAほど流れているみたいです、電源部の立ち上がりを考慮して各部定数を決定したのですが、ごく短時間だけ76のグリッドは正バイアスされるため負担がかかってしまいますが、比較的短時間でバランス点に落ち着きますから心配しなくても良さそうです。

76と6B4Gのカップリングコンデンサは今まで0.1μFを使っていたのですが、インピーダンスを考慮して1.2μFにしました。

6B4Gのフィラメントは40年前に作った時のままでトランスの6.3Vと2.5Vのところを直列につないで8.8Vくらいとしブリッジで整流後に各チャンネル用にレギュレータをかましています

図5に片チャンネル分を載せときます

図5 フィラメント用レギュレータ片チャンネル分

図5 フィラメント用レギュレータ片チャンネル分

本来は電流ブースト用に三端子と組合わせるにはPNPトランジスタがベストなのですが、その時は手持ちが無かったのでNPNを使っていますから正しく動作する安定化回路にはなりません。
しかし負荷は1Aと一定なので安定化目的と言うよりはタダのフィルター程度にはなると思って、そのまま使っています。

周波数特性とクロストークについて

周波数特性を測ってみました、図6の通り意外に下から上まで伸びています、両チャンネル共に似たような特性だったので片チャンネル分だけ載せときます。

図6 周波数特性

図6 周波数特性

40KHzでー02dBなので十分な性能だと思います

この時に用いたオーディオ発信機はTRIOのAG-202Aなので仕様により20Hz以下は測定できません。

最悪のクロストークに絶句

周波数特性の測定をしていて入力を上げていくと何やらピーっと聞こえくるので
あれ OPTかチョークでも泣いてるのかな? マジでそう思いました
更に入力レベルを上げると片方のスピーカーから音が聞こえてきます ビックリしたなぁ
周波数特性を計測しながらクロストークも測ろうと思っていたのですが図る必要も無く最悪のクロストークです

このクロストークは更に驚いたことに周波数特性と全く同じカーブを描くので2度ビックリです
実測値で全体域に渡り-46dBでした
こうなると配線経路からの誘導とかではないですね。

原因を調べたら6B4Gのフィラメントへの電源回路構成が最大の原因で、2つ目は1つのブロックコンデンサでL・Rのデカップリングに使っていたのがまずかったみたいです。

コンデンサについてはブロックコンを取り外して普通のに交換すればいいのですが、フィラメント経由の件は発見と対策までに時間がかかりました。

6B4Gのフィラメントは直流点火するのにレギュレータを通して点火していますが、マイナス側が回路の都合で共通なため互いにドライブしあいこの状態でした。
ちょっとここだけ書き出すと図7の状態です

図7 6B4Gのフィラメント結線

図7 6B4Gのフィラメント結線

R8・R9の27Ωでアースしています、(元々は100ΩB型のVRでハムバランサとしていました)
40年前に作った時からハムは殆ど無いしVRも意味が無かったので今回はVRを取り外し固定抵抗にしました。

図4の回路図にあるC6・C7のコンデンサは元々無くて、今回クロストーク対策に追加したものです、この入れ方が一番効果的でした。
細かい事を言えばC6が効果絶大でC7は気持ち的な効き目です。

これで測定したところ最悪値は20Hzの65dB、最善値は10KHzの81dBとなりました、これでとりあえずは様子見とします。

レギュレータなどかませずに独立した回路にしとけば本来はベストなのだろうと反省しています、つまり40年前から呆れたクロストーク性能だったんだと気付きました。

まとめ

  • NFBについては実測で3.5dBほどかけています

最初は12dBほどかけていたのですが、鳴らしてみると音が気に入らなくて少なめにしました
それと、図4の回路図にはNFB用の抵抗R10と並列にコンデンサC9がありますが実際は入れてません
波形を観測しましたが押さえるほどのオーバーシュートは無く、極わずかなものだったので無理にコンデンサを抱かせるほどじゃないと判断しました。

  • 入力感度 0.7Vrms 出力4.3W (注1)
  • 残留ノイズ 0.1mV未満(実測で30μVrmsなのでデータが良すぎて信用していない)

スピーカーに耳を近づけても静かすぎてなんも聞こえません

注1).

ドライブに76を使っていますが6B4Gをドライブしきれない事が解りました、実測で76のプレート出力が123Vppを超えたあたりからクリップし始めます
6B4Gを約300Vで使うのにバイアスが深いため76では厳しいのかと思います
初段のFETと76が直結でなければ、それぞれの最適値に持ち込めると思いますが、直結のままの回路では互いの関係で76を有効利用できていないと思われます
今の僕の知識では76でこれ以上の出力を取り出す方法は思いつきません、せめて150Vppくらい取れたらいいのですが・・・

そのため最大出力4.3Wと言うのは、オシロで観測して全く波形がクリップしない時の出力です。

これで40年前に作った6B4Gシングルアンプはハイブリッドアンプとして生まれ変わりました。
フィラメントの直流点火は独立回路にするかもしれませんが、今のところ良い音で鳴ってるから完結とするつもりです。

後日 追記

76のカソード抵抗R4を8.2KΩから6KΩ、プレート抵抗R5を50KΩから30KΩに変更すると、期待する動作点になるような気がします
頭で考えてるだけですが、この変更で150Vp-pくらい取り出せるのでは・・・
抵抗の手持ちが無いのでそのうち試してみたいと思います。

2019年8月18日 追記

気になるので少し変更しました

実は測定中に気づいていたのですが改造に次ぐ改造で疲れていたので見なかったことにしようと思っていたのですが
やっぱ気になるので白状すると
初段のFETの歪みが、そもそもの問題点なんです

図4の定数では2SK30Aで76を適切にドライブしきれていないのです
かなり早い時点で歪み始めています

色々考えて図8のように変更しました

図8 6B4Gシングルアンプのドライブ回路

図8 6B4Gシングルアンプのドライブ回路

76のカソード抵抗を8.2KΩ → 10KΩ、プレート抵抗を50KΩから33KΩ
2SK30Aと76の接続に1KΩを通して接続しています(これは気休めなので効果は確認していません)

今回の変更で全体的にバランスが良くなりました
76がクリップし始める状態まで良好に余裕をもって2SK30Aでドライブできます。

直結でなければ簡単なのですが、直結により相互に影響しあうため、なかなか希望するような動作点に追い込めていません

手持ちに試すだけの部品が無いため限られた部品での試行錯誤なのでここらが精いっぱいです

図4の回路の時に、低域の出方が悪くなった印象だったのですが、それが改善されました。

boss

written by boss