ぺるけ式ミニワッター. 3 ミニワッター15V版part5
7 月 18

ぺるけさんとこの「トランジスタ式ミニワッターpart2」です
前回、正負両電源の19V版(最終版)を作ったというのに、初期型の単電源仕様のpart2を作るのは本来なら有り得ない事です
逆行も甚だしいこの流れは、変態の愚行と言わざるを得ないことです

but 探求心と好奇心には逆らえない

先に、感想を書きますと
この12V単電源仕様のOTLアンプは とてもいい音がします 僕はこの音の感じ すきですね
差動回路で構成した優等生には 出せない味がある
回路は簡単だし、FETの選別に悩まなくていいし、省エネ 

蛇足ながら付け加えると
回路は簡単ですが、個々の回路の動作点が絶妙にバランスして成り立つ設計がされています
僕が最も悩まされたのは2SC4408が無いためこれの代替品を何にするかでした
ぺるけさんは2SC2655でもいいように書かれていますし僕の手持ちにもありますが使う気になりません
手持ちの中から2SD882のデータシートを確認すると2SC2655よりは2SD882の方が得策かなと思います。
回路の勉強にもなりますし音も良いので、トランジスタアンプの自作初心者の方にも迷わずこちらをお奨めします。
※追記 手持ちの2SC2655は調べたらランクYでした、hfeは190程度でした、GRの方を買っておけばよかったと後悔
2SD882はランクP(秋月電子)で今回のアンプに使ったのは280くらいあります
ネットで見かけた情報で2SC3422を使っている方がいましたが、hfe低すぎて面白くないかな・・・

参考サイトはここです
http://www.op316.com/tubes/mw/mw-12v-p2.htm

回路図はリンク先にもあるのですがこれです

トランジスタ式ミニワッターpart2

トランジスタ式ミニワッターpart2

オリジナルの回路は上記の通りですが
実際の制作にあたっては、電源を左右別々に供給するので+12Vのところにある1Ωは省きます。
それと利得が足りないので負帰還回路(AC帰還)の560Ωは1.1KΩにしました。
その他、細かい事でいうとzobelフィルタはぺるけさんは平ラグの都合でスパークキラーを使われていますが
僕は0.1μFと33Ωを取り付けています。

トランジスタは次の通りです
2SA970BLは無かったので2SA970GRを使用(樫木総業)
2SC4408は手持ちの2SD882を使用(秋月電子)
2SC4881と2SA1931は(樫木総業)

帯域調整用にオリジナルでは2SC4408に220PFを入れていますが
2SD882を使った場合の特性が今は不明なのでとりあえず100PFにしています
基板上にはパラってもう一つコンデンサを入れられるようにしているので気が向いたら追加調整をしてみようと思います。

樫木総業で買った2SC4881は長期在庫品なのでしょうよ
足が錆びてて半田が乗りません、取付前に丁寧に磨いておく必要があります、これマジで疲れました
同様に2SA1931もその傾向があり取付前に足を磨きましょう。

12Vの単電源仕様で片チャンネルたったの4石で回路は簡単です
左右それぞれに3端子レギュレータを通して12Vを供給するよう計画しました、ですが整流回路は左右共通です。

手持ちになんか電源トランスくらい転がってると思っていたら、無かったのでとりあえずノートパソコン用の電源アダプタで直流の19Vを供給して仮動作させてます。

トランジスタとバイアス用のダイオードは選別しました、トランジスタよりもダイオードの選別の方が手間ですねぇ
テスターである程度の近似値のものを選び出しても、僅かな環境変化で数値が変動するため30mAの定電流回路を急遽用意して特性を測り選別しました。
トランジスタはHfeの計測のみで選別しました。

いずれにしても実働時には個体差がでますから、それなりに落ち着くとは思いますが選別に手間をかけておけば、いい感じに収まると思います。
ただし、抵抗は測りませんでした
これ実際に計るとけっこうバラついてて気になります(普通のカーボン抵抗は偏差が大きいです)、だから闇に呑み込まれないよう抵抗の誤差は無視する事にしました。

今回も基板を特注しました、だから組み立てるだけの簡単な作業です、ついでに正負両電源の12V・15V・19Vに対応できるようにした基板も特注したので今回は2種類のミニワッターを組み立てました。

12V単電源仕様の基板です、部品を途中まで取り付けたところです
トランジスタ式ミニワッターpart2の基板

一通り組み立て終わって仮配線で鳴らしている様子
トランジスタ式ミニワッターpart2 仮設動作中

ついでに正負両電源ミニワッターの15V版として組み立て終えた基板です

トランジスタ式ミニワッター15V版part5仕様

トランジスタ式ミニワッター15V版part5仕様

今回のアンプですが、終段のトランジスタには3ミリ厚15ミリ幅のアルミの棒を34ミリ長に切って、放熱器としています
アイドリングを測ったら91.25mAと92.91mAで左右の差は2mA以下の差なので選別した意味もあったのかと思います
※0.68Ω自体の個体差があるため端数にたいした意味は無いと思います。
そして、それなりに熱くなりますが気休めの放熱器でも有効に働いているようです
アイドリングを下げるように部品交換等の調整は行いません
もし、この記事を見てお作りなる方はバイアス用のダイオードUF2010は1NU41に変更すればアイドリングは減るはずです。

3端子レギュレータを載せていますが、これも熱をけっう出しますので放熱器を付けてます
電源の利用効率が悪いため電源部のロスは無視できないのですが全体の総合計消費電力はアイドリングで6Wくらいなので気にしない事にします。

そのうちケースに入れようと思いますが、今しばらくはバラックで楽しみます。

余談ですが特注基板は10枚で送料込み2,700円くらいです(値引きクーポンがある時はもっと安いです)
平ラグは15P(15P2列のアレね)のものだと通販で500円から800円程度+送料とか他の手数料(代引きとか)
安くても合計で2チャンネル分が1600円以上はかかりますよね
これ地元の広島で買うと15Pの平ラグは1000円くらいするんですよ
2枚で2000円 バカらしくて買う気にもならない
つまり、基板を特注した方が割安感があります
僕は子供の頃の感覚が未だ抜けないので平ラグなんて100円の認識です それが1000円ってぶったまげ

■2021年7月21日 追記

先の説明で終段のバイアス回路用ダイオードの件について触れました
アイドリングを下げたかったらUF2010を1NU41に変更するといい・・・

ここで
ちょっと まった ですな

ぺるけさんの設計説明の中に以下のような事が書かれています

—-ここから https://www.op316.com/tubes/mw/mw-15v-p5-report.htm からの引用
2つめは、出力トランジスタの温度上昇と連動して与えるバイアス電圧を下げてやる方式・・・温度補償という・・・です。SEPP回路のバイアス兼温度補償回路としてシリコンダイオードを2本直列にしたものを使いました。シリコンダイオードの順電圧は、トランジスタのベース~エミッタ間電圧とほとんど同じ電圧、同じ温度特性を持っているため、出力段に適切なベースバイアスを与え、かつ出力段の熱暴走を防ぐためによく使われます。これが最も回路としてシンプルかつ廉価です。ところで、入手容易なシリコンダイオードの順電圧を実測してみると、以下のようになりました。

シリコンダイオードの順電圧=1S2076A>PS2010>1N4007>10DDA10>UF2010>1NU41>1R5NU41
—-ここまで 

19版part5を組み立てる時は半導体セットを頒布してもらっていたので何も考えず
そのセットに含まれる1NU41を使いました。

今、僕が持っているのは樫木総業で買った1NU41です
外観は少し違ってます、頒布してもらったのは一般的な形状でリード線が長いです
樫木総業で買ったのはリード線の長さが半分くらいかな(つまり短いです)、これはリールテープ式になっているのでモノ自体は同じだろうと思いますが不明です。

気になる事があるので手持ちの範囲で何種類かのダイオードを測ってみました
結果はぺるけさんが書かれている通りの順に並びます

テスターのダイオードモードで計測したとき
シリコンダイオードの順電圧=1S2076A>1N4007>UF2010>1NU41>ER504(ファストリカバリー)

しかし、この順はテスターのダイオードモードで測った時の結果です。

これを32mAの定電流回路を使って、ダイオードに実際に電流を流して電圧を計測すると異なる結果になります
※アイドリングでそれくらい流れているので実働状態に近いと思います。
シリコンダイオードの順電圧=1NU41(0.811V)>1S2076TA(0.791)>1N4007(0.751V)>UF2010(0.736V)>ER504(0.588V)(ファストリカバリー)
となり1NU41が最も順方向電圧が高いです。「()内は実測値」

これはどう考えるべきなのでしょうか
テスターのダイオードモードはこのような目的には判定基準には成りえないと思えてきました

それと1S2076Aは樫木総業で買いましたが届いたものには1S2076TAと印字されていて全く同じものなのか違うのかは不明です。

つまり、アイドリングを下げようと思ってUF2010の代わりに1NU41を使ったら余計に増えるってことだと考えています。

次の連休明けまで忙しくてテストできませんが
これを検証するには、今回組み立てたトランジスタ式ミニワッターpart2の回路に使っているUF2010を1NU41に付け替えてみるのが一番手っ取り早い気もします。
ついでにファストリカバリのER504はデータシートでは順電圧1.25Vとなっていますが、これどうして0.588Vなのかもさらに勉強しないとダメですね、実験時の電圧電流が低くて正しい測定ができていないのでしょうかね?

2021年7月25日 追記
なんとか時間を作ってダイオードの件を確認しました。

UF2010では92mA程度のアイドリングが1NU41に変更したら166mAになりました
つまり定電流回路を使って32mA流した状態で計測した順方向電圧の通りの結果になりました

これは、テスターのダイオードモードでは何の参考にもならないということで自分なりに納得できました
ですが1銘柄のみのチェックで選別をするのには問題ないと思います。

そうすると、ぺるけさんが当時大量に購入されたと推測される1NU41と
僕が樫木総業から最近買った1NU41は別物と考えられます(なぜ同じ型番でここまで特性が違うのかは不明です)
ぺるけさんの記事によると正負両電源の19V版は1NU41以外だとアイドリングがかなり増えると書いてありますから
これから自力で部品を集める人は意図としない結果になりそうですね
蛇足ですが今回使ったUF2010と1NU41の順方向電圧の差は僅か0.06Vなんですけどね 恐ろしい事です

2021年12月追記
こちらはPCB(基板)を作り変えて生まれ変わりました
新しい記事はこちらです

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written by boss