14MHzSSBトランシーバ自作1 7MHzCW専用RX超簡
4 月 25

前回に続いて14MHzモノバンドSSBトランシーバを完成目指して頑張ってみました
本日の時点では全体の95%くらいまでの仕上がりではないでしょうか・・・。

追加予定なのはPoメーター用回路、ALC関連です。

受信部については、結局のところ深追いしまくって全体のレベル調整のために各段の動作点を見直すべく定数の変更と一部は回路の変更なども行いました
いずれにしても今更基板を見て回路を起こすのはかなり面倒なのでブロックダイオグラムと一部だけ回路の掲載ということで済ませようと企んでいます。

ブロックダイアグラムは最終的に下記のようになりました
終段部は後述します

14MHzモノバンドSSBトランシーバのブロック図

14MHzモノバンドSSBトランシーバのブロック図

もしかするとIF段はDBM以降の2SK125によるIF AMP1は不要な気もします。
9MHzとか表記してますけど、実際にはそれぞれ端数があるのですが面倒なので簡略化してます。

IF AMP4の所を書き出してみます、3SK74を使った箇所は、どこもこんな回路となります
if-amp4 3SK74

このIF AMP4からAGC用の信号を貰っています、AGC回路は下記の通りです
増幅型です、とは言っても所詮2SK192A-Yなので増幅率はとても低いです、最初はトランジスタだったのですが利得を押さえるのが面倒だったので捨てるほど転がってた2SK192を使ってみました。

AGC回路

AGC回路

ここのAGC回路で目指したのは感度の良さです、アンテナを繋いで外来ノイズでもメータが動くくらいのが(ノイズのレベルにもよりますが・・・)丁度いいと考えています、モービルホイップで受信してみてスピーカーから聞こえる音の感じとSメーターの振れ具合が自分の感覚に合っていることを優先したら、こんな回路になってしまいました。

ここのAGC回路から、最初は(20数年前に作った時)RFトップに入れているATTのコントロール回路にも制御電圧を接続していたのですが、今回の作り替えた回路ではATT制御から切り離して3SK74を使ったIFアンプの部分だけに変更しました。
ATTはpinダイオードを使った減衰回路ですが、大きな入力信号をグッと絞り込むことができて簡単な割に効果は大きいです
余談ですが、当時はビッグパワー局が近所に多数いましてそれの対策用でした。
今回はATT回路には別の簡易な回路を追加してボリュームにてRF感度の調整ができるようにしました。

さて、ここらでSメーター回路をどうするかと悩みました、今回の回路ではAGC出力のインピーダンスがとても高いため、メーター回路を真面目に作るとcmos型のオペアンプかFETを初段に使ってHiインピーダンスで受ける回路を構成する必要があり考えただけでバカみたいです
たかがSメーターに(こんなオモチャに何で今更って感じです)
そこでIFアンプのソース電圧が変化するのをそのまま利用することにしました、これだと抵抗とボリュームだけで済みます。

Sメーター回路

Sメーター回路

ここで使ったメーターはジャンク箱をかき回して発見したラジケーターですが素性が分かりません
テスターの抵抗レンジで測ったらDCRは600Ωで、この時に6割程度メーターが振れました、この状態でメーターの両端の電圧を測ったら0.12Vでした
このことからフルスケート200μAくらいのメーターだと思います。
1KΩのVRで0点をセットし、10KΩのボリュームは感度と言うかフルスケートのセットができます。
※各回路の温度ドリフトは考慮していません、事実温度ドリフトにより0点は多少ズレたりしますが気にしません。

こんな感じで作りかけの本機とモービルホイップを持って通勤途中に受信を楽しんでおりました
以前に面倒だから途中で投げ出していたメーターの穴も加工して取り付けました
(写真が小さすぎてメーターのところが見えないけど後日アップします。)
外で受信テスト

こんな感じで14MHzをワッチしているのは、もはや変質者と思われてもしかたないですね。

こんな事をしていたら、やはり何かしら電波を出せる状態にしてみたいですよね
このままの回路だと歪まないところで100mWくらい、歪み覚悟で最大400mW近く出るみたいです。
それにフタもしたいので・・・

あっそうだ 電源は基本的にリポバッテリーを今後も使います3Sなので約12Vです。

では送信部の終段部を作ります
目標は3Wです

ここは、マジで悩まされました
トランジスターが無いんですね、もちろん以前の断捨離によりたくさん持っていた2SC1306とか1307とか1個もありません
通販でも探したけど製造中止なんですね
50年近く前に使っていたものですから当然ですね
驚いたのは代替品も見つからない事です
半導体資料をネットで探してたら三菱のFETがあったので買ってみましたRD16HHF1ていうんですけど、データシートを見るとなんだかパッとしませんね
30MHzで12.5V 16W Gp16dBとかって 微妙ですね
理由はアプリケーションノートを見たら
えーこの回路でこの数値 んー メーカーさんの奇跡的ベストデータがこれで、それを達成するのにこの回路 あー ちょっと自信無いな

とにかく通販で簡単に安く買える事も大事な要素なので考える前に樫木総業に注文してしまったんですよ
何が問題かと言うとゲインが期待できない事です、もしかすると14Mあたりでは22dBくらい取れるのかな? 取れたらいいなぁと思いつつ

試行錯誤の末 最終的な回路はこれになりました

RD16HHF1を使った5Wアンプ

RD16HHF1を使った5Wアンプ

作ってる最中に記念写真も撮ったのでアップしときます
目標3Wですが後日ALCもかけたいので5W出力として設計します

T-37#6で4段 LPF

T-37#6で4段 LPF

配線や改造しやすいように、ひっくり返して実装

配線や改造しやすいように、ひっくり返して実装

コアやリレーを載せた面

コアやリレーを載せた面

終段ユニットの部分

終段ユニットの部分

T2とT3をユニバーサル基板に取付しやすいように事前加工しています。

T2とT3を作ってるところ、ユニバーサル基板に取付しやすいように事前加工しています。

アイドリング等の調整中

アイドリング等の調整中

この終段部の説明をしておきます
入力部は1:4の接続です、50Ωを200Ωに上げてゲートに入れてます
4:1とか1:1もテストしましたが、もともと2SC1307用に作ったドライブ段なので納得できる動作には1歩届かずです気に入りません

1:4として接続しゲート側に200Ωをパラってるのは200Ωを明示的にするためです、そうしないとドライブ段の出力が50Ωである前提での動作が期待できないからです
それと、FETは僕の勘違いでなければ電力ドライブではなくて電圧ドライブなので1:4のトランスとすることで昇圧が期待できることです
小さなドライブ出力で効率よくFETの終段を動かすには必然的と考えています
これより高めにするのは安定性が未知数なので1:9での450Ω動作等は試していません。

それと、もしかするとゲート・アース間に抵抗を入れている人が多いようですが、僕には理由が分からないので入れていません。
真似をするのは簡単なんですが理解しないままでは意味が無いので将来その理由が分ったら対処したいと思います。

コンデンサーとトロイダルコアはジャンク箱を引っ掻き回して見つけたもので容量不足な所はパラってみたりしています、コアについてはT-36#6以外のものは予想にすぎません
10回巻いて容量を測り、透磁率を推測し、こんな型番なんだろうと思い込みのみで作ってますが経験的に記載の型番の部品と巻き数で十分な再現性があります。

RD16HHF1を使って、丁寧に設定する箇所はゲートバイアスの電圧です
ドレイン電流を測りながら各種テストした結果、僕はアイドリングを120mAにしました、この時のゲート電圧は3.9Vです。
0.1Vの変化で激しく電流が変わります
そのため、ゲート電圧の測定に入力インピーダンスの低いアナログテスターでは計測しない方がいいです、ただしドレイン電流だけを見ながら調整するなら問題ありません
細かくデータ取りをするならDMMを使いましょう。
参考になるかどうかは分かりませんが
4V 150mA
3.9V 120mA
3.85V 100mA
この時、ドレイン電圧は13Vで調整しましたが11Vから13V強まで変化させてもアイドリング電流は大きくは変わりませんでした。
このバイアス用にわざわざ三端子レギュレータを使うこともしていません
TX8.8Vラインは安定しているので問題ないと思います、それと最近は三端子レギュレータは密かに妙な周波数で発振していることを体験したので無暗に使うのは避けようと思っています

送受の切替に当たってRD16HHF1のドレインへは常時12Vがかかっていますが、動作の停止・稼働はゲートバイアスの有無のみで行っていますが問題ないと思います。

NFBは後から付けたんですが、無いよりは有った方が歪みの特性は良いようです
NFBをかけても最大出力は変化しませんが入力感度が低下するだけです、モノバンドなのでNFB無しにしようと思ったのですが歪みやすいので付けました
240Ωにしたのは1KΩから順次小さくしていくと、この240Ωあたりがバランスが良かっただけの話しです
120Ωまで下げるとNFBが効き過ぎてドライブしきれなくなりました
あまりNFBをかけすぎるとある領域を超えたときの歪み方が激しすぎて怖くなります、というか波形を見てそう感じましたので程々というのが大切みたいです。

終段部は回路図の通りですが、もしこれを参考にお作りになる方がいた場合の話しですが
T1にパラッている200Ωは別として、他の抵抗値は適当でいいです
重要ポイントはゲートバイアスのみです(低すぎると1ミリも動きません)
バイアス調整用に3.3KΩと1KΩのVRで構成していますが、もっと簡単な組合せで最初に試した10KΩのボリュームだと変化がシビア過ぎたのでVR調整しやすいように手持ちの1KΩVRに合わせて決めただけです、VRを出てT1へ行っている3.3KΩは2KΩ以上あればOKです、なんせゲートには電流が流れないので抵抗による電圧ドロップは気にしなくて良いのです。

ゲートに入れてるパラ止めの10Ωも僕の作った回路基板ではあっても無くても変わりなく気休めに入れてるだけです
オーディオアンプの1点アースのルールとよく似ていて、その考えて部品の取り付けを行えばとても安定した仕上がりとなります
高周波回路なので何事も最短ですが、そこだけに拘るとアース周り(パスコンのアース側とか)など下手をすると電流ループが多数できてしまい思いがけない結果になるかもしれません。

では実測してみましょう
僕は無線用の測定機器等も断捨離時に処分したので持っていませんでした
そこでオシロは持っているのでダミーとして100Ωを2個パラって負荷とし電圧を測ったら21Vrmsくらい簡単に出てしまうんです
計算すると(21×21)÷ 50=8.82 つまり8.82Wでてますね
そんなはずはない FETは殆ど熱くないし、2Wのダミー抵抗も瞬間的に熱くなる程度だし
それで、高周波だから回り込みによる悪戯かなと思い確かめる方法を用意することになりました
せっかく可能な限りジャンク部品の再利用で進めているのに、ここへきて・・・ コロナ自粛中につき辛いゾ

で、しかたなく確かめるために第一電波のSX-200(5Wレンジが付いてたから)とダミーのDL50Aとやらを買って測ったら
なんと楽勝で5Wレンジでは振り切れてしまい20Wレンジにて9W程度でているのを確認しました。
出力部のトランスとLPFの設計上、フルパワー時はかなり効率が低下すると思います
入力は13V×1.2A=15.6Wです 単純計算で57%程度ということでしょうかね
波形を見ていると6W位までがなんとなく調子よくパワーが出ている気がします(思い込みだと思いますけど)
終段部がこれくらい出せる能力があるということでALCはかけやすくなり嬉しい誤算です
後になって知ったのですが、このRD16HHF1よりはVHF用のシリーズがあるみたいですゲインが期待できるので次回はそっちを使った方が楽だろうなと思います。
しかし、実験中にすぐに壊れると思っていたので3個も買ったんだよね320円×3個
これが丈夫で壊れないから良かったと言えば良かった
確かにデータシートにはSWR20・全位相OKと書いてある これは真実かもしれない。

さて、この回路ですが、すごく安定していて適当にバラックで作っても動作するようです
しかもフランジがソースであることが嬉しい、オーディオ用だとドレインだったりするので面倒なんだよね
基本的に入力部にトランスを入れないで50Ωのつもりで単純にCカップリングによる入力とした場合は
動作はしますが不安定なのか他の測定器等への回り込みが発生しました
おそらく入力インピーダンスが確定しない状態の回路は無理があるのだろうと思います
50Ωのアッテネータなど付けるとか、先程の理解不能と書きましたゲート・アース間に抵抗を入れて暴れを押さえるとかすればOKと思います

アンテナ切替は終段とLPFの間で行っています、なんだか巷ではアンテナ側で切り替えていて受信時はLPFを通さないのが多いようですけど
どうしてかなぁ?

リレーで送受のアンテナ切替を行っていますがリレーの種類によっては平気で100mA越えするようで驚きました
これまたジャンク箱をかき回して見つけた中に40mA程度で動作するのがあったのでそれを使いました
しかも12Vではなくて8.8Vで動かしています、これだと25mAくらいで動作してくれました
これより電圧を低くしても動作しますが接点圧が足りなくなるので動作音を聞いて8V以上あれば接点圧は足りているだろうと判断しました
調べるとこのリレーもオムロンでは廃番となり代替品は無しとなっていたので壊れたら面倒だなと思います。

これでしばらく遊んでみます
出力計も付けたいしALCもかけたいけど、またそのうちに続きをやろうと思います。

boss

written by boss